(いけもと ひろゆき)
私は日本経済史という講義を担当していますが、私自身は江戸時代に生きた人々の“死亡”を調べることを主な研究テーマの1つとしています。これは、まず何年の何月に、男性○人、女性□人が死亡したということを明らかにしてから、なぜそのような傾向になったのかを調べていくという研究です。とても地味なことを調べているように見えると思いますが、“死亡”という現象は、人々が食事をして、働いて…という日々の生活の集大成にあたるものです。そのため、死亡傾向の原因を調べることは、当時の人々は何を食べ、どのような仕事をしていたのかという日常生活の実態を調べることになります。やっぱり地味だなあと思う人もいるかと思いますが、昔の人の生活を調べると、当時の経済システムだけでなく、今はもうなくなってしまった文化・風習などもどんどん明らかになってくるので、刺激的で非常に面白いです!今は農村や山村に暮らす人々を対象として研究していますが、今後は武士や町で暮らす商人・職人を対象としていく予定です。こうした人々の日常生活は大きく異なっていたと考えられますが、それは死亡傾向にも影響したのでしょうか。ワクワクしながら研究を進めていきたいと思います。
3年生・4年生が履修するゼミ(講義名は日本経済史演習Ⅰ・Ⅱ)では、テキストの輪読を行います。経済学部のゼミなので、経済的視点から考えるという姿勢は大切にしていますが、テキストは日本史に関わるものであれば分野を問わず広くとりあげます。最近は以下のような本を読みました。
・小山聡子『もののけの日本史 死霊、幽霊、妖怪の1000年』中央公論新社、2020年
・福田千鶴『女と男の大奥 大奥法度を読み解く』吉川弘文館、2021年
・倉本一宏『平安京の下級官人』講談社、2022年
・鈴木康久、肉戸裕行『京都の山と川 「山紫水明」が伝える千年の都』中央公論新社、2022年
・高木久史『戦国日本の生態系 庶民の生存戦略を復元する』講談社、2023年
皆さんの興味を惹くようなテキストはあったでしょうか?もしなかったとしても心配はいりません。ゼミではテキストを選ぶ際に学生から読みたい本を推薦してもらって、その中から相談して選んでいます。そのため、ゼミでテキストとして読みたい本があれば、推薦してもらえれば大丈夫です。経済史に興味がある方はもちろん、経済史にそこまでの興味は持てないけれど歴史は好きという方も、ぜひ一緒に勉強していきましょう!