(やました ともあき)
高校生の皆さん,こんにちは。いきなり質問ですが,皆さんは「簿記」や「会計」という言葉を聞いたことがありますか?「はじめて聞いた!」という人もいれば,「なんとなく聞いたことがある・・・」という人もいるでしょう。ひょっとすると商業高校に通っていて「今,高校の授業で勉強しているよ!」という人もいるかもしれませんね。私が担当している簿記の授業(福井県立大学では「簿記原理」「簿記論」という科目名)では,会社の通知表(成績表)ともいわれる決算書の作り方について,基本的な仕組みを学習しています。簡単にいうと,会社がある期間(例えば,1年)にどれだけ儲けたか(=利益を稼いだか)を計算するための基本的な仕組みとその考え方を学んでいます。
中には「え,わざわざ大学でそんなことを勉強しないといけないの!?」と不思議に思う人がいるかもしれませんね。実は,会社の決算書を作成し,利益(=儲け)を計算することはお小遣い帳をつけることとは大きく異なります。そのために用いられる技術が複式簿記,あるいは単に簿記とよばれるもので,その内容をマスターするためにはちゃんとしたトレーニングが必要になります。大学の簿記の授業では複式簿記(簿記)の仕組みについて基礎から発展的な内容までを学習してもらっています。
「自分は会社の経営には興味があるけど,簿記や会計はちょっと・・・」と考えている人もいるでしょう。でも,ちょっと待ってください!実は,会社の経営について理解を深めるためにも簿記や会計の知識を学んでおく必要があります。というのも,会社の経営状況をきちんと理解するためには決算書に出てくる言葉や数字の意味を正しく理解できなくてはならないからです。そして,簿記や会計の知識は会社の経営状況についてビジネス・パーソンが語るための共通の土台(共通言語)となっています。したがって,簿記や会計のことを「ビジネスの言語」と呼ぶ人もいるくらいです。皆さんは今,高校の授業で英語を勉強していると思います。英語で書かれた文章や話されている内容を理解し,自分で正しい英語を書いたり話したりするためには英語の語彙や仕組み(=文法)を知っている必要がありますね。「ビジネスの言語」である簿記や会計についても同じです。簿記や会計を学ぶということは「ビジネスの言語」の語彙や文法を理解し,それを使って他の人(仕事仲間や取引先など)とコミュニケーションをするための技術を学習することでもあるのです。
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