(さかい ひろえ)
これを読んでいる高校生のみなさんは、学校生活の中で定期的に成績表を受け取っていることでしょう。学びの成果は、科目ごとの点数や評価点などの数値で表現されます。みなさんは、その数値をもとに自分の強みや弱みを把握したり、過去の学びについて評価や反省をしたり、今後の学びの計画を立てたりするのではないでしょうか。
さて、会社が毎年作成する「財務諸表」と呼ばれる書類は、もしかしたらこの成績表と似たところがあるかもしれません。財務諸表は、会社の毎年の活動の結果を金額で(=「円」という単位の数値で)表現した書類です。この財務諸表を見ることで、「会社はお金をどのように集めて、何に使っているのか」「会社の活動の成果として商品がどれぐらい売れて、どれぐらいもうかったのか」など、さまざまなことがわかります。会社の経営者は、この数値をもとに自社の強みや弱みを把握したり、過去の活動について評価や反省をしたり、今後の事業活動の計画を立てたりします。
経営分析論は、この財務諸表の数値を利用して会社を深く知るための科目です。たとえば「利益率はどれくらいか」「持っている資産を効率的に使えているか」「資金繰りは大丈夫か」など、いろいろな視点があります。数値を組み合わせて目的に合った比率を計算し、分析します。計算した比率をライバル会社の数字と比較すれば自社の強み弱みをより深く知ることができますし、自社の過去の数字と比較すれば成長の度合いを知ることもできます。
会社について知りたいと思っているのは経営者だけではありません。たとえば株主は、会社の将来見通しが明るければ株価の値上がりや配当を期待できます。会社にお金を貸す銀行は、会社の状況が悪くなれば返済が滞る可能性があるので事前に審査します。取引先も、国や自治体も、従業員も、地域の人も、消費者も、みな会社の現在や将来に関心を持っています。そして、これらの関係者は、財務諸表から読み取った情報をもとに自分がどう行動するかを決めているのです。
そう考えると、会社の財務諸表を読むための能力は、ビジネスでもプライベートでも、多くの人にとって役に立ちそうです。遠い将来でなくても、探究学習や宿題などで特定の企業や業界について調べる必要性がある時などに、挑戦してみてはいかがでしょうか。
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