話す no.1「分身ロボットで働くと、何が変わる?」
話す no.1「分身ロボットで働くと、何が変わる?」
Illustration: ちい
考えてみましょう
私たちにとって「働いている」と感じるのは、どんなときだろうか?
その感覚は、何によって支えられているのだろうか?
「分身ロボットで働くって、どんな感じなんですか?」
インタビューでこの質問をすると、多くのパイロットさんは、少し考えてから、こう答えます。
「うーん…説明するの、むずかしいですね。」
それは、想像していた“特別な体験”とも、まったく普通の仕事とも、少し違う感覚だからかもしれません。
また、実際に分身ロボットの操作体験をしていない人に、感覚を伝えるのも難しいのだと思います。
分身ロボットで働き始めた当初から、多くのパイロットさんは強い高揚感を感じていたわけではありません。
ロボットを操作する
声で接客する
画面越しに周囲を見る
やっていることだけを並べると、少し不思議ではあるけれど、「すごいことをしている」という感覚は意外と薄かったと言う人が多いです。
むしろ最初にあったのは、「ちゃんとできているかな?」「迷惑をかけていないかな?」という不安でした。
「最初は、“ロボットで働く”ってどんな感じなんだろうって正直、よくわからなかったです。でも気づいたら、“働いてる自分”の感覚が戻ってきていました。」
変化は、ある日突然起きるわけではありません。
お客さんに名前を呼ばれる
「ありがとう」と言われる
また会いに来てくれる人ができる
そうした経験が積み重なるうちに、少しずつ感覚が変わっていくそうです。
「ロボットを動かしている」から「仕事をしている」へ。
「参加している」から「役割を持っている」へ。
大きな変化は「何かができるようになった」ことよりも、もっと手前にあります。
それは、「これからの自分を考えてもいいと思えた」ことにあります。
働きたいと思っていい
やってみたいと言っていい
失敗しても、戻れる場所がある
分身ロボットは、能力を急に増やす道具ではありません。
でも、「自分にはもう無理だ」と決めつけていた視線を、少しゆるめてくれます。
「ロボットで働いているというよりは、人と話している、仕事をしているという感覚です。働くことを遠ざけていた壁を、一つ下げる技術なのかもしれません。」
分身ロボットで働いたからといって、必ず前向きになるわけでもありません。
体調が不安定な日もある
うまく話せなかったと落ち込む日もある
「今日は入れない」と休むこともある
それでも、「休んでいい」「また戻ってきていい」そう言われている場所があることが、働く感覚を支えています。
この問いに、一つの答えがあるわけではありません。
パイロットさんの数だけ、答えがあります。
「やっと戻ってこられた感じ。」
「新しい自分を試している感じ。」
「無理をしなくていい場所ができた感じ。」
そのどれもが、「働く」という言葉の中に含まれていていいはずです。
あなたにとって、「働いている感じ」とはどんな感覚でしょうか。
それは、どんなときに生まれるのでしょうか。
そのとき、あなたは自分のこれからを、どんなふうに想像できるでしょうか。
改めて考えてみましょう
私たちにとって「働いている」と感じるのは、どんなときだろうか?
その感覚は、何によって支えられているのだろうか?
本資料の文章部分は、クリエイティブ・コモンズ表示4.0国際(CC BY 4.0)ライセンスのもとで公開されています。
出典を明記すれば、自由に改変・翻訳・再利用が可能です。
イラストは本ライセンスの対象外です。無断での改変・再利用はご遠慮ください。