AI 技術の進展に伴い、既存の分析手法や統計学の枠組みでは十分に扱えない多様なデータが出現しています。
また、一つの企業や組織が保有するデータのみならず、異なる組織や領域を横断するデータの流通・交換・連携によって新たな価値創出がイノベーションの新たな源泉として注目を集めています。
さらに、組織横断的なデータ活用において、データや情報を再利用可能な資源として扱う考え方は、循環経済の文脈でも活発に議論されつつあります。
しかし、異分野データ流通・連携の重要性は認識されている一方で、技術的に解決すべき問題だけでなく、法的な課題、社会の受容性、リテラシー教育など、様々な障壁が存在しています。
そこで、本研究会(SIG-DC: Special Interest Group on Data Collaboration)は、あらゆる分野で急速に進む分野横断的なデータ利活用の潮流を受け、多様なデータを共有・連携することで生まれる新たな知見や価値創造の可能性を総合的に探究し、その促進と健全な発展を図ることを目的として設立されました。
分野・組織を問わずに生じるデータの収集・管理・分析・流通・セキュリティ・ガバナンスの課題に着目し、学術的アプローチだけでなく実務的・政策的視点も取り込み、多角的に議論する場を提供します。
さらに本研究会では、データを通じた協創がもたらすメリットやイノベーションの可能性を見出すと同時に、異なる立場や利害関係を有する組織間でのデータ共有に伴うリスクや課題を洗い出し、両者のバランスを最適化する方策も研究対象とします。
これらのアクティビティを通して、データを活用した社会実装の事例や、新たなビジネスモデル・政策立案に結びつくエビデンスの創出にも注力し、分野横断的な知見の共有・発信を通じて、多様なコミュニティの連携や人材育成を促進していきます。
本研究会は、分野横断的なデータ利活用、多様なデータを共有・連携することで生まれる新たな知見や価値創造の可能性を総合的に探究し、その促進と健全な発展を目指すデータ協創を主たるテーマに、データに関わる幅広い課題と可能性を議論する場を提供します。
また、本研究会では、これらの領域に関連する多分野の専門家が集い、データ協創・流通に向けた共通課題を共有し、解決に向けた知見を交換します。年複数回の研究会やワークショップを開催し、以下のテーマに関する発表を広く募集します。
Data Ecosystem: データ市場・マーケットプレイス、データ交換、データ価格決定、データ価値化や評価の手法
Data Acquisition and Processing: データ品質、プライバシー、データ探索・準備、評価・取引
Data Integration and Aggregation: データ連携、データレイク、プライバシーとセキュリティ、モデリング、情報信頼性
Efficient Data Processing: データ処理アーキテクチャ、分散データシステム、データスペース、合成データ
Case Studies: 産官学民における多様なデータ利活用事例
AI and Data: AIの応用、AIとデータの説明性・解釈性
Privacy and Security: プライバシー保護技術とセキュリティ
Data Policy and Social Aspects: データ共有・流通を阻害する社会的要因、制度設計、政策的提言