2023年のICTの実践にあたって

高等学校の新学習指導要領(平成30年3月告示)においては、「情報活用能力※1」が、言語能力などと同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けられ、各学校におけるカリキュラム・マネジメントを通じて、教育課程全体で育成するものとなりました。また、各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどのICT環境を整備し、これらを適切に活用した学習活動の充実に配慮することを新たに明記しています。加えて、中央教育審議会答申※2では、全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びを実現するためには、学校教育の基盤的なツールとして、ICTは必要不可欠なものであり、これまでの実践とICTとを最適に組み合わせることで、これからの学校教育を大きく変化させ、様々な課題を解決し、教育の質の向上につなげていくことが必要であるとされています。

昨年度から本県においても1人1台端末の環境が整備され、本校においては、大規模改修により各教室にプロジェクタが設置されたことも相まって、昨年度に引き続き、今年度も多くの先生方にICTを活用した授業実践に取り組んでいただきました。先生方は授業に向かう際、自分の端末を持っていくことが当たり前のようになり、授業の様子は数年前とは大きく変わったと実感しています。また、入院等により登校できない生徒に対し、オンラインで授業を視聴させただけでなく、グループワーク等に参加させたり、課題を提出させたりするなど、他の生徒と同等の学びができるよう、学校全体で速やかに対応できたことも、先生方が日常的に端末を含むICTを使用した授業に取り組んでいたからこそと感じています。

一方、前述の答申の中では、1人1台の端末環境を生かし、端末を日常的に活用することで、ICTの活用が特別なことではなく「当たり前」のこととなるようにすることや、生徒自身がICTを「文房具」として自由な発想で活用できるよう環境を整え、授業をデザインすること、不登校、病気療養、障害、あるいは日本語指導を要するなどにより特別な支援が必要な児童生徒に対するきめ細かな支援、さらには個々の才能を伸ばすための高度な学びの機会の提供等に、ICTの持つ特性を最大限活用していくことが重要であるとも述べられています。

生徒の多様化が進む中、学校全体として「生徒がどのように学ぶか」、「生徒をどのように支援していくか」を視点とした研究と実践を重ねていく必要があると考えています。

令和6年3月    

福島県立修明高等学校

校長  鈴木 憲治 



※1 世の中の様々な事象を情報とその結び付きとして捉え、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して問題を発見・解決したり、自分の考えを形成したりしていくための必要な資質・能力

※2 「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)(令和3年1月26日)