鶴岡真弓 

館長の眼  

アートの

現在と未来へ

写真:ペルシャ更紗 生命の樹(多摩美術大学美術館 所蔵)

私たちは今、人類の行き方と生き方そのものが大きく問われる、新たな時代に入りました。個々の人間や国や地域ではなく、またヒューマン・カインド(人類・人間)だけではなく、この宇宙自然に生かされ共存してきた「生きとし生けるもの」の生命、生きる喜びを創造できる営みとして、アート・芸術のありかたが、これほど問われ、期待される時代はありません。
この「鶴岡真弓  館長の目:アートの現在と未来へ」では、毎回、企画展作品やパーマネントコレクションを取り上げて、館長がアップトゥーデートup to  date) によみとくと共に、本学はもとより内外で活躍するアーティスト、デザイナーなどパーソナリティをお招きし、その「過去・現在・未来」をインタビュー形式でご紹介していく場です。

これまでの大学美術館にはなかった新時代の試みを、多摩美術大学美術館から発信していきます。この新生のチャレンジをどうぞお楽しみください。 (館長 記)

多摩美術大学
芸術人類学研究所 所長
美術館 館長
名誉教授

芸術文明史家。ケルト芸術文化、およびユーロ=アジア装飾デザイン交流史研究者。早稲田大学大学院修了後、アイルランド、ダブリン大学トリニティ・カレッジ留学。処女作『ケルト/装飾的思考』(筑摩書房)で、わが国でのケルト文明/芸術理解の火付け役となる。西はアイルランド、東はシベリア・日本列島まで「ユーロ=アジア文明の生命デザイン」を追跡中。

主著に『ケルト/装飾的思考』『ケルト美術』(ちくま学芸文庫)、『ケルト 再生の思想──ハロウィンからの生命循環』(ちくま新書、河合隼雄学芸賞)、『装飾する魂』『ジョイスとケルト世界』『京都異国遺産』『ケルトの魂──アイルランドから日本へ』(平凡社)、『装飾の神話学』『ケルトの歴史(共著)』(河出書房新社)、『「装飾」の美術文明史』(NHK出版)、『阿修羅のジュエリー』(イーストプレス)、『すぐわかる ヨーロッパの装飾文様』(東京美術)、『装飾デザインを読みとく30のストーリー』(日本ヴォーグ社)、『ケルトの想像力─歴史・神話・芸術─』(青土社)など多数。

訳書に『ケルズの書』(岩波書店、創元社)、『ミステリアスケルト』(平凡社)、『ケルトの賢者「ドルイド」』(講談社)、『古ヨーロッパの神々』(言叢社)ほか。

NHKテレビ「チコちゃんに叱られる」「人間大学」「ウィークエンド・ジャパノロジー」「極上美の饗宴」「ユーミンのスーパーウーマン」、ラジオ「NHKカルチャーラジオ」「J-WAVE RADIO SWITCH」「ラジオ版 学問ノススメ」など出演。ドキュメンタリー映画『地球交響曲第一番』(龍村仁監督)でアイルランドの歌姫エンヤと共演。


真喜志勉  Turbulence  1941-2015
展覧会によせて
会期:2020/7/4-9/22

キーワード「時間、過去と現在と未来の交点 」。2020年夏に開催された真喜志勉展に触発されて、館長ならではの視点から対話を重ねます。真喜志勉の作品には、繰り返し針のない(または薄れた)時計が描かれています。代表作や同時代のスケッチブックに残されたコラージュなどを横断的に紹介しながら、時を積み重ねる「カウントアップ」の視点からも作品を読み解きます。

(2020.07.31 公開)