2024年4月に開始された健康日本21(第3次)では、
社会とのつながりとこころの健康について、以下のような基本的方向性が示されました。
「居場所づくりや社会参加の取組に加え、各人がより緩やかな関係性も含んだつながりを持つことができる環境整備や、こころの健康を守るための環境整備を行うことで、社会とのつながり・こころの健康の維持及び向上を図る」
これは、従来の「強い結びつき」や「積極的な社会参加」だけでなく、無理のない、緩やかなつながりも含めて社会との関係を捉える視点の重要性を示しています。
(参考:厚生労働省「健康日本21(第3次)」
社会的孤立と孤独は、しばしば同じ意味で使われますが、研究上は区別されます。
社会的孤立:家族や友人、地域コミュニティなどとの接触がほとんどない状態(客観的な状態)
孤独:仲間づきあいの欠如や喪失によって生じる、好ましくない感情(主観的な体験)
社会的孤立や孤独は、死亡リスク、身体疾患、メンタルヘルス、認知機能、ウェルビーイングなど、
幅広い健康アウトカムに影響を及ぼすことが示されています。
本研究室では、
社会的孤立・孤独が健康・ウェルビーイングに与える影響
年齢、性別、社会経済状況などによる影響の異質性
に着目した研究を行っています。
人と人とのつながり方は、近年大きく変化しています。
本研究室では、交流手段の多様化を踏まえ、以下のようなコミュニケーション形態と健康との関連を検討しています。
人―人の直接的な交流(対面での会話、地域活動など)
CMC(Computer-Mediated Communication)
SNS、メッセージアプリ、オンライン通話など、デジタル技術を介した人―人の交流
AI・ロボットとの相互作用
対話型AIやソーシャルロボットなど、人以外の存在との関係性
これらが、
社会的孤立・孤独を緩和するのか
あるいは新たな分断や格差を生んでいないか
という点を、実証的に検討しています。
健康日本21(第3次)では、
「地域に根ざした信頼や社会規範、ネットワークといったソーシャルキャピタル(社会関係資本)の醸成を促すことが、健康づくりにおいても有用である」
と明記されています。
同計画では、令和14年度に向けて、以下の3つの指標について目標値が設定されています。
地域の人々とのつながりが強いと思う者の増加
社会活動を行っている者の増加
地域等で共食している者の増加
本研究室では、
これらのソーシャルキャピタル指標の妥当性の検討
指標が実際に健康やウェルビーイングとどのように関連しているかの検証
目標達成に向けた具体的なアクションプランの提言
を行い、エビデンスに基づく政策・事業設計への貢献を目指しています。