Workshop on Magnitude 2022🎄

🌟:2022年12月22日(木)~23日(金)

🌟開催地:大阪大学 理学部 E-404 E301(豊中キャンパス)(教室を変更しました(11/19 追記))

🌟講演者(五十音順・敬称略):

  浅尾泰彦(福岡大学)

  神山翼(東北大学)

  五味清紀(東京工業大学)

  田嶌優(北海道大学)

  田中康平(信州大学)

  平岡裕章(京都大学)

  吉永正彦(大阪大学)

🌟スケジュール

  12月22日(木)

   10:30-11:30 平岡

   14:00-15:00 神山

   15:20-16:20 田中

   16:30-17:30 Free discussion


  12月23日(金)

   10:00-11:00 浅尾

   11:15-12:15 五味

   14:00-15:00 田嶌

   15:20-16:20 吉永

   16:30-17:30 Free discussion

🌟タイトル・アブストラクト(講演順)


平岡裕章(京都大学)

タイトル:マグニチュードホモロジーの確率論研究, およびデータ解析への適用可能性について

アブストラクト:

この講演は二部構成になっており, 第一部ではマグニチュードホモロジーの対角性に関する確率論的研究を論文arXiv:2101.09044 (Asao, Hiraoka, Kanazawa)に従って紹介する. 第二部ではパーシステントホモロジーの機械学習分野への応用研究を紹介した後に, そのマグニチュードホモロジー版を考えるにあたって解決すべき課題について紹介する予定である.


神山翼(東北大学)

タイトル:\ell_1空間におけるコンパクト集合のマグニチュードの有限性について

アブストラクト:

距離空間に対する不変量の一つにマグニチュードがある. それはLeinsterによって2008年に導入されたもので, 無限大も許した非負実数である. コンパクト正定値距離空間のマグニチュードが有限であるかどうかという問題がMeckesによって2010年に提起されていたが, その約10年後の2021年にLeinsterとMeckesが\ell_1空間の凸体でマグニチュードが無限であるものを構成した. 本講演では有限距離空間のマグニチュードの定義とその基本的な性質の紹介からはじめて, コンパクト距離空間への一般化および,具体的にマグニチュードが計算可能な空間の例を扱う. 一般には与えられた空間のマグニチュードが有限かどうかを判定することは困難であるが, \ell_1空間ではマグニチュードの評価や計算を行いやすく, 凸包の1次の\ell_1内在的体積に基づいて有限性を判定できる場合があるので, それを説明する.


田中康平(信州大学)

タイトル:離散的オイラー積分とその応用

アブストラクト:

Leinsterによる圏のEuler標数は,マグニチュードの特別な場合として考えることができる. 特に,圏がポセットの場合には,メビウスの反転公式と深い関係がある. 本講演では,ポセットのEuler標数の包除原理に着目し,センサーネットワークグラフにおける数え上げ問題への応用を紹介する. これは,BarishnikovとGhristによる,位相空間上のオイラー積分を用いたセンサーネットワーク理論への応用の離散版と考えられる.


浅尾泰彦(福岡大学)

タイトル:フィルター付き集合上の豊穣圏のマグニチュード

アブストラクト:

Leinsterは小圏の脈体のオイラー数がある意味で収束するような量として「小圏のオイラー数」を定義し, そのアナロジーとして距離空間のマグニチュードを定義した. これらは次のようにして統一的に扱える. つまり小圏のなす圏と距離空間の圏(1-Lipschitz写像を射とする)は同時にフィルター付き集合上の豊穣圏のなす圏に埋め込むことができ, フィルター付き集合上の豊穣圏のマグニチュードは両者のマグニチュードを一般化している. 本講演ではこの視点からの考察についてお話しする. この大きな対象を考えることが本質的に効いた結果はまだないが, 小圏のGrothendieck fibrationをフィルター付きに一般化したアイディアから「距離空間のファイバー束」の概念を得ることができたことを強調したい. 位相的なファイバー束と同様, 全空間のマグニチュードは底空間とファイバーのそれの積として表される. したがって同型でないがマグニチュードが等しいグラフの例をたくさん構成することができる. このファイバー束に対するSerreスペクトル系列が構成できると考えているがまだ何も進んでいない.


五味清紀(東京工業大学)

タイトル:三系のマグニチュードホモロジー

アブストラクト:

距離空間のマグニチュードホモロジーに対しては, 一般にMayer-Vietoris完全系列が成り立たない. その理由はマグニチュードホモロジーが切除公理を一般に満たさないことにある. 講演のテーマである距離空間の三系に対するマグニチュードホモロジーは, 切除公理の不成立具合を測るものである. これを用いることで, 有限距離空間のマグニチュードにおける「inclusion-exclusion principle」の不成立具合を正確に記述することができる. また, 三系のマグニチュードホモロジーとあるスペクトル系列の関連についても触れる予定である.


田嶌優(北海道大学)

タイトル:グラフのマグニチュードホモトピー型とMayer-Vietoris型定理

アブストラクト:

Hepworth-Willertonはマグニチュードの圏化としてグラフのマグニチュードホモロジーを定義した際に、Kunneth formulaやMayer-Vietoris型定理も証明している。近年Asao-Izumiharaは、ホモロジーがグラフのマグニチュードホモロジーと同型になるような単体複体と部分複体の組 (K, K’ ) を定義した。ここでは、単体複体K上で 部分複体K’を一点につぶして得られるCW複体K/K’をマグニチュードホモトピー型と呼ぶ。

本講演では、グラフのマグニチュードホモトピー型について考察することでMayer-Vietoris型定理に対する見通しの良い別証明が得られたことを紹介する。(吉永正彦氏との共同研究)


吉永正彦(大阪大学

タイトル:距離空間のマグニチュードポセットとマグニチュードホモトピー型

アブストラクト

Asao-Izumihara はグラフの頂点 a, b と正の整数 \ell に対して、単体複体の対 (K, K') を定義し、そのホモロジーがグラフの magnitude homology (の直和因子)と同型になることを示した。

本講演では、この構成を距離空間に一般化するために、まず magnitude poset を導入する。この poset の順序複体とその部分複体の対という形で空間対 (K, K') を定義し、これを(または商 K/K’ を) magnitude homotopy type と呼ぶ。応用として既知のいくつかの結果(Kunneth formula, Mayer-Vietoris 型定理)が古典的な位相幾何の結果から導かれることを紹介したい。(田嶌優氏との共同研究)

Organizers:浅尾泰彦(福岡大学),田嶌優(北海道大学),吉永正彦(大阪大学)