応用物理学特別講義第二 (2022)
講師: 越野幹人教授(大阪大学大学院 理学研究科)
講義題目:グラフェンとDirac電子
対象:大学院生
日時:2022 年 9 月 26 日(月)~ 9 月 28 日(水)
世話人: 鈴浦秀勝(北海道大学大学院工学研究院 応用物理学部門)
世話人: 鈴浦秀勝(北海道大学大学院工学研究院 応用物理学部門)
講義内容の基本情報
キーワード:
グラフェン,二次元物質,トポロジカル物性,ツイスト二層グラフェン
授業の目的:
グラフェンは炭素原子の六角格子からなる 2 次元薄膜物質である。
厚みが 1nm にも満たない極めて薄い物質である一方、高い電気伝導特性、巨大な反磁性、異常な半整数ホール効果など様々な特徴を持つ。これらの性質はグラフェン上を動く電子が「質量のないDirac粒子」として振る舞うことに起因する。
グラフェンの電子モデルは、単純でありながらベリー位相、エッジ状態や異常ホール効果など、トポロジカル物性のエッセンスが凝縮されており、現代の物性物理学を学ぶ上での恰好の舞台を与える。
この講義では、グラフェンの電子的性質を記述するDirac方程式を基本として、グラフェン及び2層グラフェン等の関連物質、さらにトポロジカル物性とのつながりを学ぶとともに、また近年注目されるツイスト2層グラフェンの物理について詳しく紹介する。
時間割
実施場所
第1回ー第6回:C206
第7回(学術講演会を兼ねる):B32
応用物理学部門学術講演会
題目:モアレ二次元物質の物理
講師:越野幹人氏(阪大理)
日時:9月28日(水)16:30-18:00
場所:工学部B32講義室
要旨:二次元物質同士の角度をずらして非整合に重ねたモアレ二次元物質では、格子構造の干渉によって生じるモアレ模様が電子やフォノンの性質を一変させる。その顕著な例の一つがツイスト二層グラフェンである。特に魔法角と呼ばれる特別な積層角における超伝導の発見は、物質科学における一つのブレイクスルーとなった。
この講演では、近年注目されているツイスト二層グラフェンを中心に、モアレ積層二次元物質系の物性研究の現状を解説する。超伝導を始めとする最近の実験を概観するとともに、モアレ電子系を記述する連続体理論を紹介する。グラフェンを超えた様々なモアレ二次元物質、準周期系、モアレフォノンに関する最近の研究についても紹介する。
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