大雨は低気圧、台風、梅雨、などなどさまざま擾乱によって起こります。これらのうち、「どのタイプの大雨が海水温に敏感か?」、「どのタイプの大雨が温暖化によって増えるのか?」という疑問に答えるため、我々はこれらの擾乱のタイプ毎に詳細な分析を行いました。
図: 北海道で大雨が発生したときの主な気圧配置。カラーは気圧の高低(hPa)。矢印は水蒸気輸送の強さを表す。
図: 各年の大雨発生回数と海面水温偏差の相関係数。相関係数の高い海域では、海水温が高い夏ほど北海道の大雨発生回数が増加することを表す。
図: 過去(HIST)と将来(+2K、+4K)で比較したタイプ別の大雨発生回数。
つまり、大雨の中でも温暖化によって敏感に応答する大雨とそうでない大雨があるようです。C1とC2の型の大雨が顕著に増加する要因について、今後詳しく調べる必要があります。本研究のように大雨の要因別に海水温と大雨の関係を評価することによって、メカニズムの理解向上や予測の改善(どのタイプの予測が難しいか分かる)が期待できます。
まだまだやるべき課題が多く残されています。一緒に研究しませんか?
本研究の詳細は、以下に詳しく記載されています。
Hatsuzuka, D., and T. Sato, 2022: Impact of SST on present and future extreme precipitation in Hokkaido investigated considering weather patterns, J. Geophys. Res. -Atmos., 127, e2021JD036120, DOI:10.1029/2021JD036120. [Link] [pdf]
NHKニュースウォッチ9で紹介されました(2022年8月22日)「ことしの記録的な暑さや大雨 原因は 今後の天候は」.内容はこちらです。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220822/k10013781891000.html
関連プロジェクト
・統合的気候モデル高度化研究プログラム(2020-2021)「領域テーマC 統合的気候変動予測(JPMXD0717935561)」
・科学研究費補助金(新学術領域研究(研究領域提案型))(2019-2023)「急速に温暖化する日本周辺海域での大気海洋相互作用と極端気象」(19H05697) in 変わりゆく気候系における中緯度大気海洋相互作用hotspot