(1) 社会の要請から
子どもたちが活躍する未来の社会は、AI技術の進歩やグローバル化等、変化の激しい世の中になることが予測されている。このような時代、学校教育には、知恵の習得はもちろん、子どもたちが身の回りの問題に向き合い、他者と協同して課題を解決していく力を身につけることが求められている。そのために、授業改善の取組の一つとして挙げられているのが「主体的・対話的で深い学び」の実現である。教師が授業改善に取り組み、子どもたち一人一人の学びを確かにしていくことが求められている。
(2) 学校教育目標から
本校の学校教育目標は、『自ら学び、仲間と協力し、未来を創造する子どもの育成』である。また、めざす児童像「いちょうの教え」の実現に向け、知徳体の各部会で具体的な方策を立てて取り組みを進めている。その中でも「知の部会」では、モジュール学習、読書活動、教育 DX 等を通して、基礎学力の定着や授業改善を推し進め、子ども自らが進んで学んだり、仲間と協力したりしながら確かな学力をつけていくことを目指している。
(3) これまでの研究から
本校では、4年前から「主体的に学び、自分の言葉で伝えあうことのできる児 童の育成」の実現のために、授業改善に取り組んできた。それにより、自分の言葉で伝えあうことのできる子どもの姿が多く見られるようになっている。
そこで、今年度は、昨年度の研修で築いた基盤の上に、「子どもたちが自分の学習
をより主体的に管理し、調整しながら学ぶ力を育む指導の工夫」にさらに力を入れて研究を深めていく。
研修主題の「主体的に学び、自分の言葉で伝えあうことのできる児童の育成」を実現するためには、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を往還させていくことが大切である。【図1参照】
個別最適な学びで、自分の考えをもった児童は友だちに伝えたくなったり、友だちの考えを聞きたくなったりし、協働的な学びへと向かう。 協働的な学びで、他者との関わり合いを通じて一人ひとりが学びを深める。ふりかえりの内容や形態を工夫することで、学んだことを明確にし、次時へつながる課題や疑問をもつことが見通しをもって学び、学習内容を高めることへもつながると考える。【図2参照】
また、本年度は子どもたちが自分の学習をより主体的に管理し、調整しながら学ぶ力を育むことで研修主題を具現化することができるのではないかと考え、サブテーマとして「自己調整学習を取り入れた学びの工夫」を設定した。
この自己調整学習を授業で取り入れる際には、「見通す」「実行する」「振り返る」の3つのプロセスを意識する必要がある。
まず、「見通す」プロセスで重要なのは、学習計画を立てることである。単元全体の見通しを持ちながら授業を進めていくだけでなく、学習の方法、取り組む時間も含めた具体的な計画を教師と児童が共有することができるとよい。【図3参照】
次に、「実行する」プロセスで重要なのは、子どもたちが学習方法を自ら選択できるようにすることである。昨年度に引きつづき、人(友達、教員、地域の方、ゲストティーチャーなど)・物(紙、ICT など)・場(個人、ペア、グループ、全体など)の環境を整え、児童が自分に合った学習方法を自己選択することをめざしていく。あらゆる教科で単元を通した学習計画をつくり、実行することで、子どもたちも少しずつ授業の進め方をつかみ、「子どもたちが主体性を発揮する授業」を実現していくことができるだろう。
最後に、「振り返る」プロセスで重要なのは、「学習内容」が定着したかどうかの振り返りだけでなく、「学習方法」についても、うまくいったこと、いかなかったことの視点で振り返ることである。自分の学習方法を振り返り、学習のうまくいったことやうまくいかなかったことの原因や理由を探ることで、その後の授業に生かすことができる。
これらのプロセスを通して自己調整学習を行うことで、児童が主体的に学び、自分の言葉で伝えあうことができる児童が増えると考える。
「主体的に学び、自分の言葉で伝えることのできる児童」
・興味や関心をもち、進んで考え、粘り強く取り組むことができる児童。
・自分や相手の思いや考えを相手に分かりやすく伝えたり、聴いたりすることができる児童。
・ふりかえりを次の学びにつなげることができる児童。
「個別最適な学び」と「協働的な学び」を往還させ、さらに自己調整学習を取り入れた学びの工夫を行うことで、主体的に学び、自分の言葉で伝えあうことのできる児童を育成することができるであろう。
① ICTの効果的活用について
②「出合スタンダード」について(+昨年度の取組をブラッシュアップしていく)
③ ICTの効果的活用について
〇「個別最適な学び」「協働的な学び」でのICTの効果的活用。【図2参照】
〇ふりかえりにICTを効果的に活用させる
※気をつけること
・学習を行う上で、子どもたちにとって「どの場面で、どう活用する」こと が効果的なのか目的意識をもって使う。ICTは学習ツールの1つ。
④「出合スタンダード」の徹底
〇「本時の目標」の確認(本時に身に付けさせたい内容)
・「学習活動」の工夫(~を通して、どのようにして)
〇対話的学びを実現させるための学習形態の工夫
・一人学び(自己との対話)やペア・グループ・全体学習(他者との対話)
〇「ふりかえり」について
・「わ・と・き」「であいのき」
わ:わかったこと
と:ともだちの意見から
き:ききたいこと
で:できるよ。わかったよ。
あ:あいての意見から
い:いいな。もっとやってみたいな。
の
き:ぎもん。
・視点を選んで書く。
・どのようにしてわかったか。(~このように考えたら分かった。)
・学びをどうしたいか。(次は、~を考えたい。分からない所を調べたい。)
※何をしたいのか考えることで次時への見通しと意欲につながる。
・キーワードを提示する。
・150字以内にまとめる(学力調査対策として)
〇聞き方の指導
・「あ・い・う・え・お」
あ:相手を見て い:いっしょうけんめい う:うなずきながら え:えがおをむけて お:おしまいまでしっかり
・自分の考えと比較して聞かせる。
(同じか・似ているか・付け加えがあるか等の視点を示して聞かせる。)
〇基本話型の指導
〇ノート指導
・めあて・・・赤で の後、鉛筆でめあてを書く。赤で囲む
・まとめ・・・青で囲む
・ふりかえり・・・青で 鉛筆でふりかえりを書く。
・一人一授業の公開を行う。教科を特定しない。
・学年、学級を下学年・上学年の2つに分ける。
ブロックのメンバー
下学年部
校長先生、1年、2年、3年、養護、学校司書
上学年部
教頭先生、4年、5年、6年、ふたば、なかよし、事務
・【全体授業】と【ブロック授業】について
【全体授業】
上学年と下学年から各1名。総案を立てた授業。
指導案は、ブロックで話し合いながら作成。
(全員参加・講師招聘・ワークショップ形式)
【ブロック授業】
その他はブロックでの研修。(本時案のみ・放課後研修)
・特別支援学級においては、児童の実態に即した授業公開を行う。
・初任者研修は別に設定する。
・【全体授業】【ブロック授業】:授業研修の後、考察を書く。
・研修のPDCA
研修主題に迫るための授業改善
P(Plan):「主体的に学び、自分の言葉で伝えあうことのできる児童の育成」を目指し、ICT を効果的に活用した授業スタイルの改善
D(Do):ICT を効果的に活用した授業の実践
C(Check):研究協議会における授業の省察
A(Action):授業改善 講師による指導助言 課題の明確化と改善策の検討
令和7年度 出合小学校 校内研修計画