ダッシュの難しさ

9月9日。5年2組の前を通ると、国語科で朽木祥(くつきしょう)・作『たずねびと』を使って学習しているところでした。去年から教科書に採用された新しい教材です。

この作品の表現は変わっていて、内心語(内話、内言ということもあります)の部分を「 」ではなく、ダッシュ(ー)で書き表しています。ーは本当はもうちょっと長く、字数でいうと2マス分。どうもこれがホームページでは入力できない!難しい!……ということで、以下の記事はもう少し長い横線(教科書は縦書きなので縦線)をイメージしながら読んでください。

この作品には次のような表現があります。

ーあんなにたくさんの人を、だれがさがしているんだろう。
ーびっくり。だれかが、わたしをさがしているの。
ー死んだ人をさがしてるんだ。

この日は、このー(ダッシュ)について、「これって、何なんだろう?」というところから考えさせていました。教師の問いを受けて、子どもたちも必死で作品を読み返します。

学習課題としては簡単ではありませんが、この作品を読み進める上では大事なことです。そういえば以前、中学1年の国語の教科書に、杉みき子・作『夜の果物屋』という教材が載っていて、同じように内心語をー(ダッシュ)で表現していました。

ーおや、今日は何かあったのかしら。
ー果物、ここで買っていこうかしら。

『たずねびと』にしろ『夜の果物屋』にせよ、ー(ダッシュ)は単なる表記上の綾(あや)ということにとどまらず、作品に登場する登場人物の心情と深く結びついています。その効果に考えさせるという、見ていて興味深い学習でした。

登録日: 2021年9月9日 / 更新日: 2021年9月9日