たんぽぽのちえ、教師の知恵

6月18日。6月から学校が始まったために、教材によっては季節がずれてしまったものもあります。

・・・と書くと、「生活科や理科の教材かな?」と思われるかもしれません。でも、国語の教材の中にも季節を考慮して教科書に収載されているものがあります。
2年の説明文「たんぽぽのちえ」もその一つ。2組の前を通りかかると、ちょうどこの教材の中にある次の文章を勉強しているところでした。

よく 晴れて、風の ある 日には、わた毛の らっかさんは、いっぱいに ひらいて、とおくまで とんでいきます。

この中にある「らっかさん」は、明らかに子どもたちの生活の中で使われる言葉(「生活言語」といいます)ではありません。「パラシュート」と書いてあれば、まだイメージできたかもしれませんが、それにしても2年生の子どもには難しい言葉です。

そこで担任が取り出したのは「傘」。これを使って文書の理解に努めていました。

以前、ある先輩の教師が国語の研究授業(たしか、全国規模の研究大会で1年か2年の授業だったと記憶しています)を参観されたときのことです。
教材文の中に「歯を食いしばる」という表現が出てきたので、ある子が先生にその意味を尋ねました。
その先生はどうしたかというと、その子に立たせ、まっすぐ腕を伸ばして座っていた椅子を持ち上げるように指示をしたそうです。

その姿勢で椅子を持っていた子の腕が下がりかけたら、先生は「下がっているぞ。もう少し上げて!」と声をかけ、もうこれ以上はだめだというところで椅子を下ろさせました。
ふーっと深い息を吸い込むその子に先生は、
「ほら、これが『歯をくいしばる』ということなんだよ。」
と声をかけたということです。

シャッターを押しながら、そのとき聞いたこの話を思い出しました。わたし(校長)が教師になって2年目、30年以上も前の話です。

登録日: 2020年6月18日 / 更新日: 2020年6月18日