Difficult Patient Encounter

Difficult Patient Encounterとは?

  • 担当患者に強い陰性感情, すなわち「イライラする」「嫌だ」という感情を引き出す患者と定義される(文献1
  • Difficult Patientは外来患者の約15%を占める(文献2
  • Difficult Patientへの対応は, 臨床現場に多くの問題をもたらし, 本来の診療目的を阻害する(文献3
  • 良質な患者中心の医療を提供するためには, 医療者は適切な対応をトレーニングする必要がある

怒っている患者(Angry Patient)

患者(SP)との医療面接およびフィードバック

対応例1(2分23秒)

対応例2(1分34秒)

フィードバック1(2分13秒)

フィードバック2(2分34秒)

避けること

  • 怒りを無視する(そのうち怒りがおさまってくれるのを願う)
  • なだめる(さらに刺激してしまう)
  • 怒りでかえす(ミラー効果)
  • 早まって患者の感情を正当化する(逆に無視された感じを与える)

技法

  • 自らの反応を省察する(感情の認識)
  • 深く深呼吸する(一旦冷静になる)
  • 怒りの原因を突き止める(あらかじめ考えられる怒りの要因を予想する)
  • 共感(感情の理解・正当化、理解したことを伝える)「怒っていらっしゃるのもごもっともです」
  • 患者の視点を引き出す(患者の味方として何ができるか)「改善のために我々に何ができるでしょうか」
  • 謝罪する(適切な場合)「長らくお待たせしてしまって、申し訳ありません」
  • 改善策を提案する「このようなことが再び起こらないように、・・・します」
  • 患者が怒りを否認する場合「怒っているとまでは言いすぎだと思いますが、気にされていることがあればお話しいただけませんか」
  • どうしてもダメなら、その場から一旦逃げる、PHSを鳴らす/鳴らしてもらう(正当な理由をつける)

ノン・アドヒアランス患者(Non-Adherence)

患者(SP)との医療面接およびフィードバック

対応例1(6分05秒)

対応例2(6分18秒)

フィードバック1(1分49秒)

フィードバック2(1分17秒)

避けること

  • コミュニケーション不足
  • アドヒアランス患者への障害が予想できていない
  • 患者を非難する

技法

  • I Message*(私メッセージ)を活用する
  • 切迫感を出す
  • 患者と医師の考え方に違いがあることを認識する
  • アドヒアランスを妨げる因子を同定する
  • 医師-患者間で正確な情報伝達を行う(文章や図を用いた情報伝達など)
  • 積極的に患者支援を行う(定期的な外来や電話によるフォロー)

*患者を説得するときに「私の家族なら、この検査は必ず受けさせます」「私が以前に経験した患者も同じことがありました」など、主語を「私」に置き換えて述べる。

悪い知らせ(Bad News Telling)

患者(SP)との医療面接

対応例1(5分44秒)

対応例2(8分29秒)

避けること

  • 面談を急いで行う
  • 自分の話したいことだけ伝える
  • 解釈モデルを聴取しない
  • ただ傍に座っていることで、その場をやり過ごそうと思う

技法

  • 頭の中でシミュレーションする(予想される反応・質問)
  • 自分の感情を整える
  • 最適な環境作りをする
  • プライバシーの確保
  • 同僚の同席(事前に打ち合わせる)
  • 患者に予告をする(患者の心の準備)

「検査異常が見つかったので、少し時間をとってお話ししたいのですが」

「誰か同席を希望される方はいらっしゃいますか」

  • 間をとって、相手が理性面と感情面の両方で反応できるよう待つ
  • 早期に解釈モデルやニーズを見つけ出す
  • 繰り返し説明する
  • 希望が持てる情報を含ませる
  • 説明の時間を十分に取る

©2017 Chiba University Graduate School of Medicine