せん妄の予防と対策

予習課題

以下の教材を予習し、ページ末尾の理解度確認テストを受けてください。今回の予習内容を用いて、セミナーでの効果測定を実施します。

セミナーの日時

2019年3月19日(火)18時00分〜20時00分

当日はお弁当を用意しています。

同意書ならびに謝金支払いのために、必ず捺印を持参してください。

1. せん妄のとは

(1)せん妄の定義と特徴

  • 急性で一時的な, 中等度あるいは軽度の意識障害(意識混濁)にさまざまな精神症状を伴う状態(意識変容)のこと.
  • せん妄も意識障害の亜型である.
  • せん妄の特徴は, 急激に発症, 見当識障害, 変動性の症状, 健忘である.

(2)せん妄と認知症の違い

2. せん妄のサブタイプ

(1)過剰活動型せん妄

直前の24時間に以下のうち2項目以上のはっきりした根拠がある

  • 動作性の活動量の増加(過度な水準の活動の根拠があるか)
  • 活動の制御喪失(患者は環境に相応しい活動水準を維持できているか)
  • 落ち着かなさ(患者は精神的に落ち着かないと訴えたり, 焦燥感があるようにみえるか)
  • 徘徊(患者ははっきりとした行き先や目的なく動き回っているか)

(2)低活動型せん妄

直前の24時間に以下のうち2項目以上のはっきりした根拠がある

  • 活動量の減少(患者は普段のあるいは周囲の環境に相応しい活動が低下しているか)
  • 動作速度の低下(患者は動き始めや動作の遂行が遅くないか)
  • 周囲の認識の低下(患者は周囲の環境に対する感情的な反応がいつもより乏しくみえないか)
  • 発語量の低下(患者は周囲の環境に関する発語量が低下していないか)
  • 発語速度の低下(患者は普段よりゆっくり話すか)
  • 無関心(患者は周囲の環境への反応が少ないか)
  • 覚醒水準の低下/ひきこもり(患者は周囲の環境やその重要性に対する認識がかけているようにみえるか, 孤立しているようにみえるか)

(3)混合型

直前の24時間以内に過活動型と低活動型の両方の根拠がある

(4)運動性亜型はなし

直前の24時間以内に過活動型と低活動型の根拠がない

Meagher D, et al. J Neurophychiatry Clin Neurosci. 2008; 20(2): 185-93.

3. せん妄の原因となる因子

(1)せん妄の原因となる因子とは?

  • 直接因子, 誘発因子, 準備因子の3つに分類される(表1).
  • これらの複数の因子が重なり影響し合い, せん妄が発症する(図1).

直接因子

せん妄の発症を引き起こす直接の要因

誘発因子

せん妄の発症を誘発する要因

  1. 環境要因:①入院 ②ICU ③不適切な明るさ ④騒音
  2. 身体要因:①脱水 ②低栄養 ③痛み ④不動化(外傷、拘束、モニター、点滴、カテーテル、ドレーンなども含む)
  3. 感覚遮断:①視力低下 ②聴力低下 ③面会制限
  4. 睡眠:①不眠 ②むずむず足症候群 ③睡眠覚醒リズムの乱れ
  5. 精神的要因:①心理的ストレス ②不安

準備因子

脳の脆弱性となる要因

高齢

  • 認知症(アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症など)
  • 脳血管性障害の既往
  • 糖尿病(血管の動脈硬化が進展することで脳の血流が悪くなる)

表1. せん妄の3因子の特徴

図1. せん妄発症と3因子の割合

せん妄のスタンダードケア Q & A 100(南江堂. 酒井育子, 渡邉博幸)より引用

4. せん妄を起こす原因薬剤

(1)せん妄のを起こす原因薬剤

*せん妄の臨床指針〔せん妄の治療指針第2版〕日本総合病院精神医学会編集 より引用

5. 4AT-J(日本語版せん妄スクリーニング尺度)

(1)4AT-Jとは?

(2)4AT-Jの利用方法

動画(2分33秒)

スライド

4AT-J

(3)4AT-Jの解釈

  • 0点:正常
  • 1点-3点:リスクあり、認知機能低下の可能性
  • 4点以上:すでにせん妄、またはリスク大、認知機能低下の可能性

6. 理解度確認テスト

  • 以下の理解度テストに回答してください(必須).
  • 問題は7問です。
  • 全て正解するまで繰り返し受講可能です。
  • 期日は2019年3月18日までです.