測定結果の信頼性と測定装置の精度を保つため、較正シリンジと抵抗管、健常者を用いて、機器が正確に作動していることを定期的に確認することが精度管理上重要である。
1日1回使用開始前に精度確認をする。較正シリンジは精度保証とその期限に留意する。抵抗管は汚れや衝撃に弱いため、架台の引き出しなど汚れにくい場所に保管し、落としてしまうなど衝撃を加えてしまった場合は交換することを推奨する。
紙製マウスピースとスタンダードタイプのスパイロフィルタ、又は、マウスタイプのスパイロフィルタを機器に取り付けて、深く咥えてもらい検査をする。咥える位置によって舌や歯がオシレーションや呼吸の妨げになったり、死腔量に差が生じたりする。なるべく深く咥えることでこれらの影響を減ずることができる。
尚、マウスピースやスパイロフィルタの形状によっては流路が狭小化されるため、流路が円又は楕円のものを使用し、突起を噛む形状などは使用しない。
信号処理の関係上、パルス波を推奨している。但し、ノイズ波も旧来オシロメトリーに用いられてきたものであることと、パルス波よりもノイズ波の方が、刺激が少ないと感じる場合もあるため、両波形を使い分け出来るようになっている。
MostGraph-02の成人の測定方法を動画でご紹介します。
MostGraph-02の小児の測定方法を動画でご紹介します。
図1に、6歳児の測定写真を示す。
図1 年長児の測定
モストグラフは、安静換気で計測が可能であり、計測適応の年齢幅は広く、就学前の年少児まで検査が可能である。
測定の精度を向上させるには、「安定した安静呼吸をしてもらう。」ことがコツである。
検査時に、年長児でもノーズクリップをして、マウスピースをくわえると緊張し大きく呼吸をするなど不安定になることがある。検査前に、被検者にきちんと説明し、検査前に一度ノーズクリップやマウスピースを装着してもらい、「口で呼吸すると息が苦しくなることはないから、安心して大丈夫だよ。」と安心させてあげることは大切である。
年少児では、測定画面の画像に注意が散漫になり、安静呼吸が保たれないケースも経験することがある。被検者に「目をとじてみましょう。」や静かに音楽を聴いてもらうなど「検査や安静呼吸を意識させない。」工夫も大切である。
測定値は、コヒーレンスがより高い呼吸を選択することで安定したデータとなるため、可能ならば、少し長めに計測することがコツである。
ノーズクリップとマウスピースの装着を基本とする。図2に、2歳児の測定を示す。ノーズクリップは、通常のサイズでは、年少児の鼻のサイズには大きすぎ外れてしまうことがある。年少児用のノーズクリップが入手しにくいときは、検者や保護者に鼻をつまんでもらい測定する。このとき、「鼻から空気がもれないように、両側鼻翼分部をしっかりとつまんでください。」と指示する。
マウスタイプ(マウスピース一体型)のスパイロフィルタを使用することも多いが、マウスピースは、紙製を基本とし、スパイロフィルタと接続して使用する。プラスチック製マウスピースを使用する際には同じ素材のものを継続して使用することが望ましい。
検査開始前に、被検者に「マウスピースの筒の中に、舌を入れないでください。」と説明し、被検者に開口してもらい、舌の上にマウスピースをのせ、しっかりとくわえてもらう。年少児では、舌を動かし、マウスピースの内腔に移動させることがあり、測定値に影響を与えることがある。1) マウスピースは成人と同サイズのものを使用することを基準としているため、口のサイズが小さい年少児では、閉口が難しいことがある。検査中、左右の口角が開かないようにしっかり閉口していることを確認することが必要である。マウスピースをくわえる位置(口腔内に挿入する距離)を一定にすることも重要である。装置から被険者まで、オシレーション波が到達する距離や材質に差異があれば、測定値に少なからず影響がある1)。年少児の測定では、口のサイズが小さいため、複数回測定するときには、マウスピースをくわえる位置(口腔内に挿入する距離)が浅くなることがある時には、前回と同じ距離にすることが必要である。
A ノーズクリップ介助
B チークサポート介助
C 頚部後屈
図2 2歳児測定写真
チークサポートは、被検者自身が行うことを基本とする。年少児の場合、図2 Bに示すように、他者が介助をすることもできるが、同一児を数回測定するときには、同じ方法でチークサポートを行うことが好ましい。チークサポートは、口腔内の形状に影響を与えるため、安定した押さえ圧が必要であり、測定値の誤差の原因ひとつにもなる。1)
背筋を伸ばし、頸部を安定させた座位を基本とする。図2 Cに、示すように年少児では、座高が低いため頚部が後屈することがあり、気道形態が変化をし、測定誤差を生じることがあるため、測定装置に対して、頚部が前屈もしくは後屈しないように椅子の高さを被検者に応じて調節が必要である。1) 座位では、椅子の背もたれの有無によっても姿勢に影響を与えることがある。
年少児では、立位での計測のほうが安定した姿勢を保つことが容易であるケースもあるが、長期に複数回測定するケースや他の被検者や他施設での測定値を比較検討する時には、データの取り扱いが難しくなるため、検査姿勢は座位で統一することが好ましい。
MostGraph-02の日常のお手入れについて動画でご紹介します。 ※動画内のホースについてカフスが取れないタイプに変更されました。 カフスを取り外すことを除外して手順通りに行ってください。