2026年02月27日発行
CAM-TOOL導入事例(キヤノンモールド株式会社様)のご紹介
ベトナム発 CAM-TOOL加工事例
WEBセミナー「CAM-TOOL V22.1/新機能ダイジェスト」開催のお知らせ
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~ CAM-TOOLによる原価低減と負荷平準化への挑戦 ~
キヤノンモールド株式会社は、精密プラスチック成形用金型の設計・製作を手掛ける専門メーカーです。高度な技術力と厳格な品質管理を強みに、カメラやプリンターなどの精密機器分野をはじめ、自動車、医療、産業機器など多岐にわたる業界へ製品を提供しています。同社は、型内組立、高精度金型、超多数個取り金型、ハイサイクル金型を得意とし、モールドベースを最重要部位と位置づけたダイセット専用工場による100%内製体制を構築、安定した品質と短納期対応を実現しています。さらに、キヤノングループの海外ネットワークを活用し、北米・タイを中心に金型および部品受注の拡大にも取り組んでいます。同社の強みは、3次元CAD/CAMを活用した高度な設計力と、高速・高精度加工を支える先進的な設備群にあります。複雑形状や微細加工に対応する独自ノウハウと解析技術により、高精度と短納期を両立。設計から加工、組立、検査までを一貫して対応できる体制に加え、自動化の推進による生産性向上にも力を入れています。こうした取り組みの一環として、本社・友部事業所の基幹CAMを「CAM-TOOL」へ刷新しました。本稿では、その導入背景と効果について、取締役所長の芝沼文彦氏、第一製造部 課長の仲村亮一氏、ならびにプログラマーの増山憲一氏にお話を伺いました。
全社最適を実現するための基幹CAM刷新
芝沼所長:当社では、グループ製品の高度化や市場競争の激化を背景に、「生産効率の向上」と「コスト競争力の強化」を最重要課題と位置づけ、27%の工数削減という明確な目標を掲げています。阿見事業所(以下、阿見)と友部事業所(以下、友部)の2拠点体制のもと、阿見ではキヤノン製品向けの基幹部品、友部では外販向け(自動車・医療分野)の金型製作を担ってきました。これまで各拠点の特性を生かした最適化を進めてきましたが、製品形状の複雑化や短納期化が進む中で、拠点単位での最適化には限界が見え始めていました。今後も高度化する要求に応え続けるためには、拠点間のリソースや技術を柔軟に活用できる「全社最適」の生産体制へ転換することが不可欠です。その検討過程において、従来のCAM運用には、工程や拠点をまたいだ連携・標準化を阻む構造的な課題があることが明らかになりました。
そこで当社は、これらの課題を根本から解決するため、友部事業所の基幹CAMシステムを抜本的に見直す決断をしました。本取り組みは、単なるツールの置き換えではなく、金型製作の中核を担うCAM工程の負荷を平準化し、人的リソースをより付加価値の高い技術開発へ振り向けるための戦略的な施策です。あわせて、CAM環境の統一・標準化により、特定工程や個人に依存しない運用を実現し、CAMプログラマーが複数工程を横断的に担える多能工化の推進も狙いとしました。
工程統合と投資最適化を両立するCAM選定
芝沼所長:システム選定にあたっては、すでに阿見で導入実績のあるCAM-TOOLを有力候補として検討しました。阿見では、自由曲面を多く含む鋳造金型などの案件を数多く手掛けており、複雑形状に対しても一定の品質と効率を両立できていることを、これまでの実績を通じて確認しています。現在は、荒加工から仕上げ加工までを一つのCAMで一貫してプログラム作成できる体制が整っており、テンプレート機能の活用によって、作業効率や品質の平準化につながる可能性も見込まれました。
従来のCAM運用と比較した際の特徴としては、金型製作に関わる工程全体を一つのCAMでカバーできる点が挙げられます。必要な機能をモジュール単位で選択できるため、初期投資を抑えながら段階的な導入が可能であり、投資計画の柔軟性という面でもメリットがあると判断しました。また、継続的な機能改善やバージョンアップが行われている点、複数のCAMを併用していた従来環境に比べて保守契約やサポート窓口を集約できる点も、運用管理やコスト面で評価したポイントです。これらを総合的に検討した結果、CAM-TOOLを基幹CAMシステムとして採用し、友部へ水平展開する判断に至りました。
― これまでの課題や導入効果について、詳しくお聞きかせください。
課題(1)ツールパス精度の限界
仲村課長:当社が手掛ける精密金型では、鏡面レベルの品質が求められます。磨き工程の負荷は、前工程である切削仕上げ(下地)の精度に大きく依存します。高精度な工作機械を使っても、工具交換時の補正誤差や熱変位による微小段差の発生を完全に避けることはできません。そのためCAMオペレーターは、機械特性を踏まえたツールパスの重ね方や切削負荷制御など、段差抑制のための工夫を重ねてきました。しかし、従来のツールパス精度では、磨き工程まで含めた工数削減には限界を感じていました。
課題(2)作業負荷平準化を妨げるCAM運用の構造的課題
仲村課長:阿見・友部間でCAMシステムが統一されていなかったため、拠点間での柔軟な業務分担が難しい状況にありました。例えば阿見の負荷が高まっても友部へ業務を分散する相互支援ができず、増面型などの類似案件であっても、データ互換性の問題から工程分担の検討すら行えませんでした。また、事業所内でも「ダイセット」「荒取り」「仕上げ」で異なるCAMシステムを使用していたため、工程間の連携ミスや手戻りが発生し、CAM仕様差に起因するデータ修正などの付帯作業が業務効率を大きく阻害していました。加えて、教育内容の統一が難しく、体系的な人材育成を進めにくい状況にありました。さらに、工具選定や加工条件の設定が作業者の経験に依存していたことから、品質の一貫性の面でも工数や仕上がりにばらつきが生じていました。
システム導入と定着プロセス
仲村課長/増山氏:阿見での導入実績を踏まえ、実機デモを通じて操作性を確認し、CAM工数削減に直結する機能性を評価しました。ソリッドベースCAMからの移行に伴う効率低下への懸念に対しては、自ら講習会を受講して事前検証を行い、実運用が可能と判断しています。テンプレート運用による標準化と教育体系の再構築を喫緊のテーマと位置づけ、マニュアル整備とテンプレート化を推進しました。マニュアルはCAM-TOOLの高い操作性を活かし、操作手順にとどまらず現場で使えるノウハウを盛り込んだ内容としています。あわせて、微細・高精度加工を中心にテンプレート化を進め、機構部品ではテンプレートによる即時パス生成が定着し、製品部では適用範囲の整理を進めている段階です。さらに、ツーリングDBを活用することで、工程特性に応じた加工条件とツーリング情報の一元管理を実現しています。
効果(1)磨き工数半減が視野に
仲村課長:CAM-TOOLの高精度CAMエンジンにより、仕上げ後の表面品質は従来より均一で光沢も良好となり、「下地が安定している」と磨き工程から高評価を得ています。あわせて、工具選定の見直しによる品質安定化と工具費削減も実現しました。工具メーカーがCAM-TOOLを導入していることで、具体的な相談がしやすく、加工ノウハウの蓄積・共有が加速しています。修正や追加工といった手戻りも減少、磨き工数の半減も現実的な目標となっています。
効果(2)多能工・負荷平準化でCAM供給力を強化
仲村課長:2025年11月時点でCAM-TOOLの使用率は100%に達し、工程間でのデータ共有が可能になったことで、手戻りやデータ修正といった付帯作業は解消されました。荒取り工程専門のプログラマーが1か月でダイセット工程のプログラムも作成できるようになり、多能工化も急速に進展しています。さらに、新人や経験の浅いオペレーターでも一定水準の品質で作業できるようになり、教育工数の大幅な削減につながっています。また、基幹システム統一を契機に「CAM会議」を設置し、毎月各部門が改善テーマを持ち寄って、テンプレートの拡充や運用改善について意見交換を実施しています。部門や立場の異なる視点が交わることで新たな改善のヒントが生まれており、今後は四半期ごとの数値分析によるフィードバックも取り入れ、改善活動をさらに深化させていく計画です。
実行性が高い「穴加工」、次につながる「5軸加工」
仲村課長/増山氏:HOLE機能「真円周回モード」により、穴加工モデルの作成から工具割り当て、ツールパス計算までの一連の作業が大幅に効率化されました。当社では3Dモデルを色分けして穴属性を管理していますが、これと組み合わせることで、複数の穴に対して最適なテンプレートが自動で割り当てられ、一括で高品質なツールパスを瞬時に生成できています。
中核機能として特に重視したのが5軸機能です。光学機器向けの複雑な鏡筒部品や、深く狭小な形状を持つ金型加工では、5軸加工の活用強化による放電加工の削減が重要なテーマでした。CAM-TOOLの5軸オペレーションは3軸の操作体系を踏襲しているため、操作ハードルが低く、現場への定着もスムーズに進んでいます。カメラ鏡筒金型などの内径スライド部の加工においては、工具の傾斜角度や干渉を考慮した最適なツールパスを自動算出できるため、オペレーターが事前に検討する工数を大幅に削減できると見込んでいます。
さらに、バレル工具による仕上げや、駆け上がり荒取りなど、先進的な加工手法の検証も進めています。CAM工数の削減にとどまらず、実加工時間を含めた工程全体での加工能率向上を目指すとともに、プログラマー自身が金型構造、加工のノウハウを理解し、活用できる強い人材育成にも取り組んでいく考えです。C&Gシステムズには、国産メーカーならではの近い距離感で継続的なサポートをいただいており、今後の取り組みを推進していくうえで、大きな支えとなっています。
今後の展望と期待
芝沼所長:基幹CAM刷新にあたっては、阿見での導入および運用経験を踏まえ、セットアップや教育を計画的に進めることで、全社展開を比較的円滑に立ち上げることができました。現在は全社で計39シートのCAM-TOOLを運用し、拠点間で生産リソースを柔軟に活用できる体制を整えています。今後は、これまで切削加工を中心に取り組んできた工数削減施策を、電極加工や旋削加工へと段階的に拡大していく方針です。その取り組みの一つとして、「EXCESS-HYBRIDⅡ」旋盤モジュールについて先行評価を進めており、実務への適用を視野に入れた検討段階にあります。将来的には、電極・切削・旋削を含む工程全体を一体的に運用できるCAM環境の構築を目指しており、工程間の分断による非効率の低減や、運用の柔軟性向上につなげていきたいと考えています。これらの取り組みを通じて、生産性の向上に加え、中長期的な競争力および収益基盤の強化を図っていく考えです。
― お忙しい中インタビューにご協力いただき誠にありがとうございました。
《 会社概要 》
会社名 :キヤノンモールド株式会社
代表者 :代表取締役社長 畠山 英之
従業員数 :459名(2025年11月1日現在)
所在地 :茨城県笠間市柏井812番2
電話 :0296-77-8171
URL :https://mold.canon/
事業内容 :精密プラスチック金型の設計、製作
~ ベトナム金型・製造業の未来を共に創造 ~
昨年12月17日から19日までの3日間、当社はベトナム・フンイエン省にて開催された、MAKINO VIETNAM CO., LTD.主催の「MAKINO Hung Yen Factory Open House」に、CAD/CAMパートナーとして参加しました。本イベントは、MAKINO社の最新設備や加工技術を広く紹介するとともに、ベトナムをはじめとする東南アジア地域の製造業関係者との技術交流を目的として開催されたものです。会期中は、3日間で約500名もの来場者が訪れ、現地の金型・部品加工メーカーを中心に、経営層から技術責任者、現場エンジニアまで、幅広い層の参加が見られました。イベント初日には、VIPユーザーによる記念植樹式が行われ、MAKINO社のベトナム市場への長期的なコミットメントと、現地産業との共生を象徴するセレモニーとして、多くの注目を集めました。また、期間中は金型加工および部品加工に関する専門セミナーが多数開催され、最新の加工トレンドや自動化、高精度化に向けた取り組みが紹介されました。当社からは、CGSベトナムテクニカルセンターの現地スタッフが登壇し、高精度・高効率なCAD/CAMシステム「CAM-TOOL」の特長や活用事例について、具体的な加工データや事例を交えながら解説しました。
中でも来場者の関心を強く集めたのが、「MAKINOのマシニングセンタとCAM-TOOLによるコラボレーション事例」です。MAKINO社が誇る世界トップクラスの工作機械性能と、CAM-TOOLの高度な加工支援機能を組み合わせることで、加工精度の向上、加工時間の短縮、安定した品質確保といった成果が、世界各国の製造現場で実証されていることを紹介しました。これらの具体的な成功事例に対し、来場者からは多くの質問や意見が寄せられ、CAMと工作機械の最適な連携に対する高い期待と信頼を感じる機会となりました。
さらに、学術界・政府機関・産業界の専門家を招いたパネルディスカッションも実施され、ベトナムにおける金型産業および製造業の将来像、人材育成や技術高度化の課題について、活発な議論が交わされました。地元企業主導で力強い成長を続けるベトナム市場において、産学官が一体となって製造業の高度化を目指す姿勢が強く印象に残る内容となりました。
このような意義深いイベントに、MAKINO社のCAD/CAMパートナーとして参加できたことを、当社一同大変光栄に感じております。今後もMAKINO社をはじめとしたパートナー各社と緊密に連携し、先進的なソリューションと現地密着型の技術サポートを通じて、ベトナム製造業のさらなる発展と競争力強化に貢献してまいります。
本サンプルは、ベトナムにおいて急速に拡大する自動車・オートバイ産業のニーズに応えるべく、オートバイ部品のプラスチック射出成形金型を想定して製作されたものです。内燃機関車に加え、電気自動車(EV)の主要生産拠点として進化を続けるベトナムにおいて、高品質な金型を「より速く、より高精度に」生産する技術は、これまで以上に重要性を増しています。本サンプルでは、そうした市場要求に応えるための最新加工技術を具体的にご紹介しています。
材質 ワークP20 (33HRC) 540mm × 340mm × 220m
機械:荒取り加工:ax61x / 仕上げ加工:V80S
荒取り加工
実際の量産現場を想定し、横形マシニングセンタ「a61nx」を用いた高効率荒取り加工を実施。 CAM-TOOLにより自動生成・最適化された工具パスは、常に素材形状を参照することでエアカットを排除します。さらに、高度な工具負荷解析により切削条件を自動調整し、最適な加工状態を維持します。これにより、生産性の大幅な向上と工具寿命の延長を両立し、初回加工から最大限の効率を発揮します。
「可変送り速度」機能で工具負荷を解析し加工条件を最適化! 工具性能を最大限に発揮!
仕上げ加工
大規模・高精度金型加工の新たなスタンダードとなりつつある同時5軸加工の有効性を「V80S」によって実証しました 。CAM-TOOLの 5 軸加工モジュールに搭載される「スムージング」機能を活用することで、面品位に優れた超高品質な仕上げ加工を実現しています。 同時に高度な干渉・衝突回避機能により、複雑形状においても安全かつ安定した加工プロセスを確保しています 。
機械が持つ優れた動的精度を損なうことなく、「スムージング」機能が強力にサポート!
~ 新バージョンの“一押し機能”をいち早くお届けします! ~
4月リリース予定の新バージョン「V22.1」におけるバージョンアップ項目の中から、“一押し機能”をピックアップし、ダイジェスト形式でご紹介いたします。
ぜひご参加賜りますようお願い申し上げます。なお、本セミナーはオンデマンド配信となります。ご都合の良い日時に視聴可能です。
<開催要項>
名称:WEBセミナー『V22.1/新機能ダイジェスト』
配信開始日:3月19日(木)9:00~
視聴時間:1時間程
形式:Youtubeによるオンデマンド配信
※お申し込み受領後、視聴用URLをメールにてご案内いたします。
※同業他社様のご参加はご遠慮いただいております。あらかじめご了承ください。
日刊工業新聞社「型技術」2026年3月号に掲載されました。
特集:金型加工の高精度化・再現性の確立に役立つ計測技術
測定プログラムもCAMで作成する時代へ - CAMの機上計測機能 -
CAM-TOOL サポート情報
修正プログラム(V21.1.12.1)を1月27日にリリースしました。
NXインポート(NX2506対応版)を1月27日にリリースしました。
Parasolid インポート修正版を2月27日にリリースしました。
EXCESS-HYBRIDⅡ/PartsCAM サポート情報
V11.1新機能ダイジェスト動画を2月20日にアップしました。
V11.1機能紹介スライドを2月20日にアップしました。
V11.1バージョンアップキットは3月中旬に最寄りの支店より発送いたします。
2027年リリースバージョン(V12.1)における注意事項「GPU(グラフィックボード/CPU内臓GPU)制限について」を2月20日にアップしました。
CG Series サポート情報
「樹脂流動解析」販売・サポート保守終了に関するお知らせを2月27日にアップしました。
AIQ サポート情報
修正プログラム(V18.1.4.1)を2月9日にリリースしました。