<効果測定 中間報告>
本プロジェクトでは生徒・教員を対象に、資質・能力(基礎的・汎用的能力や職業観・勤労観)育成の視点を中心に、教育効果の測定を実施しています。
今回は中間報告ということで、7月実施の授業に参加してくださった学校を対象に測定した結果をまとめました。
■効果測定概要
<方法>
●生徒事前・事後アンケート、教員事前・事後アンケート、生徒・教員インタビューの実施
<対象>
●2021年7月にキャリアチャレンジデイOn-line Meetsで授業実施をした下記6校
(東京都港区立高松中学校、広島県尾道市立浦崎中学校、兵庫県南あわじ市・洲本市組合立広田中学校、東京都西東京市田無第四中学校、愛知県名古屋市立長良中学校、宮城県大崎市立古川北中学校 )
・生徒事前・事後アンケート:事前=388名、事後=360名
・教員事後アンケート:29名
・生徒・教員インタビュー:生徒7名、教員4名
<分析手法>
●事前事後アンケートの変容分析や自由記述回答のテキストマイニング
■効果測定結果の要約
<生徒について>
●職業観・勤労観の醸成(考え方の自己認知)に対して80%の生徒の考え方に変容がありました。
●基礎的・汎用的能力のうち、特にキャリアプランニング能力において向上が見られました。
●働く大人や働くことについて肯定的な印象が増加。また仕事や働くということについて、実施前は自分や生活を中心とした視点で捉えていたが、実施後は社会視点(貢献、社会への影響)や自己実現視点(やりがい、かっこいい)で捉えるようになりました。
<教員について>
●キャリアチャレンジデイに93%の教員が満足していると回答しました。
●キャリアチャレンジデイ実施のメリットとして、働く人の思いや価値観に触れられること、地域・距離的な限定なく多種多様な企業講師や全国の学校とつながれること、充実した内容や教育効果に対して準備・調整のしやすさ、他のキャリア教育との併用による教育効果の相乗効果、など多くの意見がありました。
生徒事後アンケート結果・生徒インタビュー
職業観・勤労観の醸成(考え方の自己認知)に対して80%の生徒の考え方に変容がありました。
●生徒事後アンケート
Q:キャリアチャレンジデイを通して、働くことや将来についての考えの変化の有無
●生徒インタビュー
~生徒の感想の一例~
●今までは働くことについてあまり考えていなかったし興味ももてなかったけれど、講師のみなさんの話を聞いて、仕事を楽しみながら社会にも役立っている様子を知り、仕事に対する印象が変わりました。
●どんな仕事をしたいか考える機会にもなったし、講師の方が言っていた仕事だけでなく、どんな人になりたいか、という視点でも自分の将来のことを考えたいと思いました。将来の目標をもつ機会になりました。
基礎的・汎用的能力のうち、特にキャリアプランニング能力において向上が見られました。
●生徒事前・事後アンケート比較
働く大人や働くことについて肯定的な印象が増加(赤色の円で示した範囲)。
また実施前は自分を中心とした視点で仕事を捉えていたが、
実施後は社会視点(貢献、社会への影響)や自己実現視点(やりがい、かっこいい)で捉えるようになりました。
●生徒事前・事後アンケート比較
Q:「働く人」「働く大人」はあなたにとってどういうイメージ・印象ですか?(自由記述に関するテキストマイニング)
※緑=形容詞、赤=動詞、青=名詞
教員事後アンケート結果・教員インタビュー
教員アンケートにおいて、キャリアチャレンジデイに93%の教員が満足していると回答がありました。
●教員事後アンケート
Q:キャリアチャレンジデイの満足度について教えてください。
~教員の感想の一例~
●働く人の思いや価値観に触れられる
企業講師のみなさんの仕事や働く思い、価値観などについて、触れられるのがよく、生徒が授業後も講師の言葉が印象に残っていると話していた。カリキュラムで統一されている「意志」「役割」「能力」の共通フォーマットで話してくださることもあり、生徒に伝わりやすい。
●地域を限定せず、多種多様な企業講師や全国の学校とつながれる
県外の企業の話を聞くことは今までのキャリア教育の取組ではできなかったことで、地域に限定されず多様な企業講師の話を聞けることはとても貴重。また全国の他校の生徒とつながれることも生徒にとって刺激になる。
●充実した内容や教育効果に対して準備・調整のしやすさ
本来このような機会を学校独自で設定すると、1日がかりで2企業を訪問するのがやっとですが、キャリアチャレンジデイでは2時間の授業で2企業の講師の話を聞くことができる。またそれに関する調整も事務局がコーディネートをしてくれるため、実施しやすい。
●教員インタビュー
職場体験との併用により教育効果を高められる可能性
広島県 尾道市立浦崎中学校 校長 小山 肇 氏
職場体験は職業を実際に体験して学ぶところに価値があり、また本プログラムは企業や職種を幅広く知ることができたり、働く人の思いや価値観を知れることに価値がある。
それぞれの価値の違いを踏まえると、まずは本プログラムで企業や職業、また働くことに対する考え方など全体像を掴んだうえで、実際に職場体験で実感したり深めることができると、より効果は高まると思う。