UC Davisでの留学を終えて

薬学部薬学科

豊浦 早織(2018年度入学生)

留学内容

 1回生時の春休みにアメリカ合衆国カリフォルニア州デービスに位置するカリフォルニア大学デービス校(University of California, Davis : UC Davis)へ1か月間留学をしました。English for Science and Technology (EST)というプログラムで、英語を学びながら科学技術に対する考え方や意見の発信の仕方を学びました。また、Site-Visitsではシリコンバレーの企業やサンフランシスコの博物館を訪れ、科学と技術に対する新たな視点を得ることができました。

薬学生としての発見

 アメリカにおいて薬剤師は信頼されている職業の一つです。この留学の機会に、薬剤師が信頼されている様子を現地で実際に確かめ、信頼されている理由を追求してみたいと考えました。デービスの薬局で働く薬剤師やUC DavisのPre-Pharmacy Clubの学生へインタビューを実施し調査しました。

アメリカでは人々は何でも薬剤師に聞く

 日本とアメリカと比較したときに一番違いを感じたことは、「アメリカでは人々は何でも薬剤師に聞く」ということです。日本でも医薬分業が進みましたが、未だに薬剤師は医師の処方に従って調剤した薬を説明してくれる人というイメージが強いように感じます。しかし、アメリカでは薬の相談はもちろん、医師と同じように自分の体調の相談や、禁煙や睡眠などのカウンセリングも日常的に行われています。医療費の高いアメリカでは病気になったら、まず医療費のかからない薬局に行き相談する習慣があるためだと思われます。

また、薬局の在り方がアメリカと日本で大きく違いました。アメリカの薬局は一見日本のドラッグストアのようでした。しかし、店内に入るとPharmacyと書かれた日本の調剤薬局のような部屋があり、そこで処方箋の薬を受け取れる仕組みになっていました。日用品を買いにドラッグストアに行くついでに、薬局で自分の体調を相談しやすい環境であると感じました。

大学構内にいる野生のリス
大学構内にいる野生のリス
アメリカのドラックストア日本では考えられないたくさんの薬の数でした!アメリカ人と薬の関係がうかがえます。
薬局の調剤室1
薬局の調剤室2

薬剤師の信頼を高めるためには、人と積極的に関わることがポイント

日本に比べ、些細なことでも質問しやすく、人々が薬剤師と接する機会が多いことが親しみやすさを生み、信頼される要因であると思いました。現在の日本のドラッグストアや薬局も日々進化しており快適になっていますが、より薬剤師の信頼を高めるためには、患者をはじめとして人と積極的にかかわることが重要なポイントだと考えます。また、医学や薬学といった専門的な内容を、患者自身が理解できるよう、わかりやすく説明するプレゼン力が求められると感じました。

薬学生にとっての留学とは

留学で得られるものは不安要素を打ち消すほどたくさんある

薬学部という勉強に忙しい学部にいながら留学をするということは、決して楽なものではありません。特に薬学部は学費が決して安くはないですし、再試験の日程と留学期間が重なっていることなど、様々な不安要素があると思います。しかし、留学で得られるものは、不安を打ち消すほどたくさんあります。

薬学科に所属する人は薬剤師として将来日本で働く人が大半です。しかし、日本で働くからといって英語が不必要な訳ではありませんし、グローバル化が進む今、多くの外国人が訪れる日本では、医療現場においても異文化への配慮が必要となってきています。また、創薬科学科の学生にとっては、薬の製造開発に携わる者として海外に目を向けることは、新薬を創製する上で重要な視点となると思います。

留学は語学だけでなく、異文化を学んだり、多様性や価値観の違いを感じ成長したりする絶好の機会だと思います。勇気をだし留学にトライしてみてください!


スーパーで売られている薬
薬局に貼られていたチラシカリフォルニア州が薬剤師に質問することを推奨しているようです。