大阪大学の窪田高弘教授、下田正教授、岸本忠史教授の三方がこの春、
学生 1,000 円
その他 4,000 円
申し込みはこちら(締切 2/19 * 飛び入り参加も可能ですが、できるだけご登録をお願いします)。
最終講義詳細
13:40-14:40
講師:窪田 高弘 先生 (大阪大学 全学教育推進機構)
題目:「J/Ψ粒子発見以後の素粒子論」
概要:
1970年代の素粒子論は,J/Ψ粒子発見に象徴されるように,理論と実験が車の両輪となって前進する目覚ましい時期にあった.非可換ゲージ場理論の進歩と素粒子の標準理論の確立は,1920年代の量子力学建設時にも比すべき疾風怒濤の展開のうちに進行した.素粒子論のパラダイムのこのような転換が,当時駆け出しだった一物理学徒の目にどのように映ったのか,講演の前半でお話したい.このような大発展にも拘らずtop quarkとHiggs粒子の発見は大幅に遅れた.とりわけHiggs粒子については,その質量に関する情報が乏しく,Higgs粒子発見の戦略を立てることも容易ではなかった.Higgs粒子の加速器による生成機構とその崩壊過程の解析において,理論面でどのような努力がなされたのか,その際に摂動論的QCDやくりこみ群方程式がどのように利用されたのかについて,講演の後半でお話したい.
14:50-15:50
講師:下田 正 先生 (大阪大学 大学院理学研究科)
題目:「不安定な原子核の研究:亡き師に導かれた40年」
概要:
「アイデアで勝負!」これが私の恩師(私が博士課程在学中に米国の大学で指導を受けたN先生)の口癖であった。N先生は物理の本質を目に見えるように語り、物理を心から楽しむ人だった。公私にわたって深くおつき合いいただき、遠い将来までの研究構想を語り合った。不安定核の研究をともに進めるはずだったのに、私の帰国からわずか4年後に不慮の事故で亡くなられてしまった。
私の研究者としての原点は、N先生と過ごした濃密な日々にある。以来、「アイデアで勝負!」を肝に銘じてきた。判断の度に「N先生ならどうするだろうか」と自分に問いかけるのが習慣になっている。幸運なことに、加速器施設新設の機会に2度恵まれ、アイデアを盛り込んだ実験手法や測定装置を一から作り上げることができた。それらを駆使して、N先生と語った夢を次々と実現してきた。不安定核の不思議な世界をこの手で明らかにできることに喜びを感じてきた。
振り返ってみると、N先生の例のように、私の人生の転機となった出会いがいくつかあった。大阪大学教養部の先生方には基礎教育の大切さを学んだ。事務職員・非常勤職員の方々には、手厚いサポートの背後にある、社会が大学に抱く期待の大きさを学んだ。高校の先生方には多様な人材の育成の大切さを学んだ。
最終講義では、私のこれまでの教育・研究活動を簡単に振り返る。参考にしていただけることがあれば幸いである。
16:00-17:00
講師:岸本 忠史 先生 (大阪大学 大学院理学研究科)
題目:「原子核物理学の研究に取り組んで − 物理と装置 −」
概要:
原子核物理の実験的研究には物理と装置の両面での発展が不可欠である。大学院生として研究を始めたころに核物理研究センターが新しく建設したAVFサイクロトロンが共同利用を開始し、一方で理学部のサイクロトロンは役目を終えようとしていた。理学部のサイクトロンで学位論文を完成させるには検出器の開発と適切なテーマが不可欠であった。その後東工大を経て米国BNLに移った。そこのAGS加速器でしか得られないK中間子を用いた研究を進めるためだった。日本でもKEK‐PSで中間子を用いる研究が進められるようになって阪大に戻り、ストレンジネスを含む原子核の研究を進めた。今は神岡でCANDLES検出器を建設して二重ベータ崩壊の研究に注力している。それぞれのタイミングで物理と装置にいかに取り組んで来たかを紹介したい。
最終講義
日時:3月5日(月) 13:30-17:00
場所:大阪大学 南部陽一郎ホール
https://www.sci.osaka-u.ac.jp/ja/nambu-hall/#access
懇親会
日時:3月5日(月) 18:00--
場所:大阪大学 豊中福利会館3階 食堂 (4階とご案内してましたが変更になりました)
キャンパスマップの
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/access/toyonaka/toyonaka.html
77番。