医療用コンプトンカメラの開発

☆コンプトンカメラは目に見えない放射線を測定し、線源がどこに有るかを見えるようにする(画像化する)装置です。

コンプトンカメラは宇宙観測用の検出器として発展してきました。また、福島原子力発電所の事故後には環境測定用の装置として、多数のコンプトンカメラが発売されました。

さらにはテロ対策としての利用も検討が進められているという事です。

医学分野でも様々な形で放射線が利用されています。

核医学診断と呼ばれる分野では、体内に投与した放射性医薬品が臓器や体内組織などに集まる様子を画像化し、病気の診断、悪性度の確認、治療効果の判定などに利用しています。

そこで、我々はこの画像化にコンプトンカメラを応用できないかと考えています。

☆現在、核医学ではSPECTとPETと呼ばれる装置が利用されています。

SPECT(Single photon emission computed tomography)では多数の平行な穴の空いたコリメーターと呼ばれる金属板を用いて放射線の発生位置を特定しています。

コリメーターは重くなりやすく、また高いエネルギーのγ線には利用しづらいという欠点が有ります。

一方PET(Positron emission tomography )では対消滅γ線と呼ばれる2本の放射線を同時に測定するという手法を用いて、線源の位置を特定します。

そのため、測定器は患者さんを囲う形で配置する必要が有ります。

また半減期の短い数種類の核種しか利用できないというデメリットもあります。

☆コンプトンカメラはコンプトン散乱と呼ばれる物理現象を利用します。

コンプトンカメラ内には2種類の検出器(散乱体と吸収体)が有り、それぞれの検出器が反応位置と反応エネルギーを測定します。

測定されたエネルギーをコンプトン散乱の式に代入し、測定位置の情報を組み合わせることによって、放射線がどの方向から飛んできたかを円錐状と特定できます。

多数の放射線を測定し、この円錐を重ねていくことによって、放射線源の位置を特定することができます。

コンプトンカメラはこりめたーが必要無いため、幅広いエネルギーのγ線を利用できます。

つまりSPECT用の薬剤もPET用の薬剤も、またこれまで利用できなかった高エネルギーγ線を出す核種も使用できます。

さらに、エネルギー分解能が高いため、これらを複数同時に投与して、その分布を画像化することも可能です。

読売新聞で紹介されました。(2019.07.24)

https://www.yomiuri.co.jp/local/gunma/news/20190724-OYTNT50102/

Optronicsで紹介されました(2019.07.25)

http://www.optronics-media.com/news/20190725/58900/

QLifeProで紹介されました。(2019.07.26)

http://www.qlifepro.com/news/20190726/compton-camera.html

日本経済新聞で紹介されました。(2019.07.29)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47917760Z20C19A7L60000/

PhysicsWorldで取り上げられました。(2019.07.31)

https://physicsworld.com/a/compton-camera-simultaneously-images-pet-and-spect-tracers-in-human-body/