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衝突警告アプリ(広報映像の解説)

先日、大学広報用に研究室紹介ビデオの撮影をしました。

センシング技術活用研究室(天野直紀研究室)紹介映像


こういった映像撮影は初めてだったので、色々とうまくいかないところもありました。

そこでページでいいわけ技術的な補完をしています。いわば「続きはWebで」のページです。


経緯

本学では大学・学部などの紹介映像を幾つも公開しています。先日、工学部の研究紹介映像を作成するという話が出てきました。

諸事情あって、私がその一人と決まってから撮影日まで、たいへん短い準備期間となりました。この短期間で研究内容をわかりやすい事例で展開するとのタスクはたいへん困難でした。様々な制約もあり、全体としてやや無理がありました。

映像の内容

映像では研究内容の応用例として歩きスマフォを支援・可能にすること映像にしています。

この事例を研究していると言うことではなくて、研究している内容を使うとこんなこともできるよ、と言う趣旨です。私の研究は要素技術と言うよりも、複数の要素技術を組み合わせたシステム化の要素のほうが強いので、短時間でうまく示すのは難しいことでした。

映像に出てくる技術デモンストレーションは以下の3つです。
  1. 電動台車(搬送ロボット)の自動停止
  2. 歩行者の衝突危険性を通知(歩きスマフォしていても衝突しない)
  3. 歩行者への自動車の接近を通知(歩きスマフォしていても後方から近づく車に気づく)

電動台車の自動停止

この電動台車はこれまでにも幾つかのブログ(1, 2, 3など)に登場してきたものです。

この映像では電動台車にゲーム用の3Dカメラ(Kinect)を搭載して自動停止を実現しています。これは研究紹介というよりも、比較のため、近年の技術例として自動車の自動ブレーキシステムを示したものです。

このプログラム例ではKinectを用いて、人として認識される物体があれば、距離に応じて警告あるいは自動停止しています。また、人と認識できない物体でも接近しすぎたら自動停止しています。この状態はオープンキャンパスでも展示したことがあるものです。

歩行者同士の衝突アラート

歩行者同士の衝突危険性の通知(アラート)はandroidアプリで実現しています。歩きスマフォをしていても、ぶつかりそうになったら警告をして衝突を防止するというデモンストレーションです。

これは今、皆さんが持っているスマートフォンだけでもこんなことができます、と言う可能性提示の例となっています。

スマートフォンにはBluetoothという通信機能があります。ヘッドフォンなどの接続に使っている人も多いと思います。事前にペアリングすると思うかもしれませんが、この事例ではペアリングはしないので、事前の相互確認のない、不特定の端末間で実現できるようにしています。

実装にはBluetooth LE(Google社のEddystone API)を用いています。端末間の接近は電波の受信強度から推定しています。Eddystone APIを用いています。

映像では示すことができませんでしたが、アプリの実装では方位も計測・発信しています。方位まで利用すると、近くにいても同じ方向に向かっていれば衝突の危険性が低いことがわかります。

歩行者への自動車接近のアラート

実はこれも歩行者同士の衝突アラートとまったく同一のアプリで実現しています。

アプリは自身が歩行者であるか自動車であるかをEddystone APIを用いて発信しています。これにより何が接近しているのかまで識別できます。当然、自動車は歩行者よりも遠方でアラートを出さないと間に合いません。

展望・展開

実用化を考えるならば、バッテリー消費まで考慮して実現する必要があります。エネルギー消費という視点はサステイナブル工学としても見過ごせない重要なところです。

このBluetoothを用いた実装はカメラを用いるよりもずっと省電力ですが、一日出歩けるほどではありません。更に精度を向上させようと受信強度を計測する間隔を短くすればその分だけバッテリー消費も増えてしまいます。

研究室では、カメラ以外のセンシング技術を用いて、人の検出をモバイル環境下で可能な方法を幾つか検討しています。今回はそのわかりやすい?応用例として映像化しました。

その意味で歩きスマフォを安全にするということは目的としていませんでした。しかし、今回の一連の準備を経て、むしろこれ自体も卒研室での研究対象にすることにしました。いわば「歩きスマフォ実現」プロジェクトです。衝突だけが危険ではありませんし、身体的な危険だけを避けられればよいとも言えません。多面的な実現を目指します。