浜北西高校書道展
繋ごう ~私たちから未来へ~
1年生
小栗 明華
臨 建中告身帖
天下之本天下の本は、(家にあり)
天下之本は力強さと穏やかさの特徴があるので、太細や字形を意識して臨書する事ができました。筆使いがまだ上手には出来ませんが、この作品で少しずつ学ぶ事が出来ました。私は顔真卿の蚕頭燕尾が好きです。
鈴木 詞音
臨 九成宮醴泉銘
九成之宮
細かい所に気をつけて一生懸命書きました。
田中 智暁
臨 孔子廟堂碑
玄妙之境
起筆と終筆を1番意識しました。特に右はらいの部分や点の部分と細かいところが難しく、自分の中で最大限に臨書しました。
2年生
河合 希星
臨 「木簡」
李龍文袍一領直二百八十七襲一領直四百五十
私は入部当初からずっとやってみたかった木簡を臨書しました。特に右払いと最後の「十」という字の筆遣いに苦戦し、何度も試行錯誤をして作り上げました。この作品を通して木簡の楽しさを感じていただけたら嬉しいです。
古今和歌集より
思へども なほうとまれぬ 春霞 かからぬ山も あらじと思へば
今回は漢字仮名交じりではなく、仮名だけの作品を書きました。仮名だけと思うと一見簡単そうだと思いますが、字と字は続いていなくても筆路はつながっているので余白の使い方とバランスが難しく感じました。暖かい目で見てくださると嬉しいです。
田代 実留来
臨 集字聖教序
二儀有像顕覆載以含生四時無形潜寒
自分の中では、行書が得意なのでこの古典を選びました。鋭く表したり穏やかな表現で表したり、それぞれの字に特徴があると思います。間のとり方や字形に気をつけて書きました。
古今和歌集
何をして身のいたづらに老いぬらむ年の思わむ事ぞやさしき
古今和歌集の歌で、身近に感じた歌なので選んでみました。この歌は自分の年老いた姿にどうしてこんな風になってしまったのか、一緒に過ごしていた年に対して恥ずかしく思う。という意味です。私の祖母が先日『昔は出来ていたのにいまはもうねえ…』とつぶやいている事がありました。この言葉と歌を重ねて意味が似ている部分があると思いました。
長瀬 明音
臨 多宝塔碑
尋奉恩旨許為恒式前後道場所感舎利
多宝塔碑は顔真卿の若い頃の楷書作品で、楷書作品の中でもとても有名な古典です。顔真卿はとても真面目な性格だったらしく、字のキッチリさからもそれが見受けられます。顔真卿の真面目さを表現するために、とめ、はね、はらいを十分に意識して仕上げました。
無知
無知の意味は文字の通り「知識が無い」ことを指します。私がこの文字を選んだのは、自分がまだまだ世界を知らないと最近思い始めたからです。知っていくことも大切だけど、自分が知らないことを真正面から受け止めて、始点に立つという意味で書きました。
久米 結子
臨 蘭亭序
是日也 天朗気清 恵風和暢 仰観宇宙 之大
蘭亭序は筆路が鮮明であるのでその特徴を意識しながら書きました。特に流れるような筆使いや文字の結構の違いをよく見て書きました。
破顔一笑
破顔一笑
初めての篆刻に取り組みました。破顔一笑という四字熟語は嫌なことがあっても笑顔でいられるようにしたいという思いを込めて彫りました。思いがつまった作品になっているのでその思いを感じ取っていただければ幸いです。
山岡 美友
臨 何紹基詩
荊州沙市船中急雨初霽開北軒以受涼王子飛兄弟來過
この作品は黄庭堅を題材に書かれています。一つ一つの文字をより実物に近づけれるように渇筆を意識して制作しました。作品の特徴でもある文字の繋がりに注目してくださると嬉しいです。
ぬしやたれ
ぬしやたれとへどしらたまいはなくにさらばなべてやあはれとおもはむ "この作品は古今和歌集の作品です。
源融により作られました。源融は紫式部の「源氏物語」の主人公の実在モデルとも呼ばれています。ぜひ源融の和歌の世界観を感じていただけたら嬉しいです。"
3年生
伊藤 琉佑
シンデレラのことば
例えどんなに深く悲しんでも信じ続けていれば夢は叶う
私はこの言葉に出会ってどんなに辛く悲しいことがあってもいつかは夢が叶うと信じることができるようになりました。上段はネガティブな言葉なため文字を小さくし下段はポジティブな言葉なので強調するために文字を大きく書き工夫をしました。
夢の先に
輝きだした夢の先にまだまだ道は続いていく
現在夢に向かって頑張っているのでこの足立佳奈さんの曲の一節を書きました。文字の配置や大きさを工夫して書きました。
刻苦精進
刻苦精進
現在進路実現に向けて頑張っているので『非常に苦労してひたすら仕事や勉学に励むこと、自身の心身を苦しめるほどに専念して努力する』という意味が込められたこの四字熟語を選びました。
藤本 弐唯奈
臨 楷書氾勝之書八屏
夏至天気始暑 陰気始盛 土復解 夏至後九十日 書夜分 天地気和 以此時耕田
作者は農業に携わっており、中国で自らが経験したことをこの農書に書き記しています。それは、後世に農業の方法を伝えるためではないかと私は考えています。私自身は農業の経験はありませんが、私の作品を通してたくさんの人に作者の書き記したことを知ってもらいたいです。
私の願い
どれだけ背丈が変わろうとも 変わらない何かがありますように
高校を卒業すると、今一緒に過ごしている友達と会う機会が少なくなります。また、大人になるにつれて見た目や性格、物事の考え方も変化していくと私は思います。どれだけ背丈が変わっても歳を重ねても、変わらない何か、思い出や友情が残っていてますようにという願いを込めて書きました。
平 朱里
臨 左繍序
然春秋之爲書。埃後賢傳説疏解。尚且左支右吾。不易明晰如是。則後人何從措手。
一画一画ゆっくりと書くように意識をしました。私がこの古典に出会った時に感じたことは文字の凛々しさと掠れや肉付けの美しさです。それらを特徴として書き上げることができました。
嵐/サクラ咲ケ
振り向くな 後ろには 明日はないから 前をむけ
私の好きなアーティストである嵐の曲です。作品にもあるように前だけ見て自分の道を歩き続けろという気持ちのこもったフレーズが今進路に向けて頑張っている私達へのエールのように感じました。
『振り向くな』というフレーズを大きくすることで諦めそうになって弱腰になっている自分への喝をイメージしました。
輝
輝
『輝』にした理由は、中体連の時顧問の先生が私にくれた一字だからです。「今この瞬間に輝を求めなさい。朱里はまだまだ輝ける。そして、チームが苦しい時朱里が照らしてあげなさい。」『輝』と一緒にこの言葉が送られました。これを胸に一心不乱にボールを追った日々を忘れられません。
土射津 茂枝
臨 集王聖教序
松風水月 未足比其清華 仙露明珠 詎能方其朗潤 故以智通無累 神測未形
この古典は、僧懐仁が東晋の王羲之の書を集字して作られました。線の太さに変化をつけるために筆圧の強弱を意識し、迫力のある作品に仕上げました。
超壁
超壁
夢や目標を達成することは、決して簡単ではなく、多くの試練に立ち向かいます。ですが、その壁をおそれず、前向きな気持ちで挑戦していこうという気持ちを込めて書きました。
三好 美沙希
題自画
唐詩読み罷はりて闌干に倚る
午院沈沈として緑意寒し
借問す春風何れの処にか有ると
石前の幽竹石間の蘭
唐詩の本を読み終わって、手すりにもたれて外を見る。昼下がりの中庭はひっそりと静まり、木々の緑は寒々しい。ちょっと尋ねてみよう、春風はどこを吹いているのかと。庭石の前の奥深い竹林だろうか、それとも庭石の間の蘭の花のあたりだろうか。
作者が夏目漱石であることに興味を持ち、書くに至りました。私が今まで学んできた、米芾の書風を意識して書きました。
道
地面蹴りつけて進もう 今の君の先へ
私の学生時代を彩ってくれた一曲です。これからの歩む道に、しっかり地に足つけて進んで行きたいという思いで書きました。
縁
縁
今までのいくつもの縁のおかげで、これまでの私がいるという思いで制作しました。
刹那
刹那
刹那には瞬間、極めて短い時間という意味があります。楽しいことも、嫌なこともいろいろあった高校生活を表現してみました。
臨 蜀素帖
青い松が強くのびきった姿は、わだかまるのを恥じるように空を凌いでいる。秋の花は赤い煙より姿を見せ、ひらひらと積雲の美しさがある。疑りぶかい鶴は頸をすくめて帰ってくる。青い松はもともと華は咲かない、咲けばどうやったら、冬の寒さに耐えることができるだろうか。亀と鶴は寿命は同じだが、羽と甲羅では、身を寄せる所が違っている。それぞれにめでたい動物だが、自分の体を忘れることはできない。鶴には空を飛び上がろうとする気持ちがあり、亀には尻尾を引きずる泥の中の住まいを嫌う。竹をニ羽の口にくわえ、亀を運んで、雲の通い路にのぼった。お前に告げる、慎んで喋ることないように、ちょっと喋れば泥の中に落ちるぞと。
筆圧の強弱の面白さと、文字の雰囲気自体に惹かれ、制作し始めました。余白をいかに美しく見せるかを意識して、書くことができました。
土手 愛佳
臨 大字雁塔聖教序
早くも空、無相、無願という解脱に至る門である三空の境地を理解し、長じても神妙な心がけをもち、率先して四忍のような悟りを開くためのあらゆる苦しい修行に耐えた。
この書体は横画の長さや字の広がりを重視したもので、それらを意識しながら書きました。
七転八起
勇気を出して少しずつ泣いて笑ってまた進む
この曲はAIのキラキラという曲です。頑張る人の背中を押してくれる応援ソングで、この曲を聴くと前向きな気持ちになります。題名は何度失敗しても、また立ち上がって努力するという意味の七転八起を選びました。
臨 細字雁塔聖教序
宇宙の根本原理は形を持って万物を覆うもの(天)と、万物を載せるもの(地)という姿をもって、生きとしいけるものを包み込んでいる。これに対し、春夏秋冬の時の移り変わりは目に見えず、寒暑のような諸所の現象の中に潜み込んで、万物を次々に変化させる。玄奘法師というものがいた。法師の才知は人知では捉えることができないものにまで通じ、その精神はまだ形を持たないものまで測ることができた。そこで、理路整然と筋道をたてて、偽りと真実を区別して、これから学ぶものへの道を開きたいと考えたのであった。そこで、西域に旅することにした。道に迷って途方にくれたこともあった。しかし、いかなる苦境のもとでも、求める心が深ければ願いも自ずから通じるのであった。ここで、歴訪した国々より、三蔵の経典の内で重要なもの、約六百五十七部を持ち帰り、翻訳して中華の地に広めた。欠如していた聖教も全き姿に復し、罪深き衆生も再び幸福になった。
臨書する時に字を間違えないように丁寧に書き進めました。また、之や而という漢字が沢山あり、一つ一つ形が違うので特徴を掴みながら書きました。
共同作品
四季折々
現在の2,3年生で制作しました。
1月 『孟春』
2月 『如月や山茶花寒き忘れ花』(松岡青蘿)
3月 『一陽来復』
4月 『花残し月』
5月 『五月雨を集めて早し最上川』(松尾芭蕉)
6月 『霖雨』
7月 『初秋』
8月 『三五夜』
9月 『新涼燈火』
10月 『小春』
11月 『霜月やかすれかすれの草の花』(正岡子規)
12月 『大歳の暮れゆく雲を仰ぎけり』(西島麦南)
私たちは、「月」を題材として、四季折々をことばに託してみました。
1月「春の初め」、2月「暦上は春も残る寒さに衣を重ねて(俳句)」、3月「冬が去りそして春が来る」、4月「花残し月」、5月「最上川は涼しい風を運びながら穏やかに流れる(俳句)」、6月「来る日も来る日も雨雨雨…」、7月「秋のはじまり」、8月「仲秋の月夜」、9月「月明かりの下で読書に耽る秋」、10月「秋の深まるころに突然訪れる春のような陽気」、11月「花の少ない霜月の花はさぞかし大切にされるだろう(俳句)」、12月「大晦日に暮れゆく空を仰ぎ見た(俳句)」、こんな感じでしょうか。また、月の異名に季節の食べ物も添えました。
私たちが映した日本の姿をご堪能ください。
いろは
2年生のみで制作しました。
この作品は私たち2年生でやる初めての共同作品です。初めてということもあってとても不安でしたが構成もいちから考えて誠心誠意書きました。期間も少ない中、皆で協力し合いなんとか作り上げました。テーマである「色」を表現すべく書いたこの作品から私たちの明るいイメージが伝わり、書の楽しさを感じていただけたら幸いです。