Speaker: 田崎晴明 (学習院大)

Date: Mar.12th (Tue.) 16:00-

Style: Zoom

Title: ETHと大偏差に基づく大自由度孤立量子系の熱平衡化のシナリオと厳密な例

Abstract:

大自由度孤立量子系の時間発展に基づいて平衡統計力学の基礎づけができないかということを(ほとんど何もできないまま)前世紀から考えている。特に、2010年3月に(当時「再発見」されて英訳が公開されたばかりの)von Neumann の1929年の論文を読んで以来、彼が提示したマクロな量子系の熱平衡化のシナリオを適切な数学的な素材を用いて具現することをずっと試みていた。14年間が経過したところで、ようやく(自由フェルミオン鎖というヘボい系なのだが)完全に厳密な例を作ることができた。今回は、このできたばかりの例題を軸に、タイトルにある「ETHと大偏差に基づく熱平衡化のシナリオ」をお話しし、(無限にあるけれどどこに手をつけられるか皆目わからない)今後の課題についても議論したい。私の考えの足りないところなどについて遠慮なくご指摘いただければと願っています。