「福井の福祉を!」実行委員会と並行して行う活動です。
もう20年くらい前だろうか。NHKスペシャルに「あなたの声が聞きたい」というドキュメンタリーがあった。北海道は札幌市の「麻生脳神経科病院」で、「植物状態」となった患者たちが、看護師たちのたゆまない働きかけによって、人間としての反応を返すようになり、少しずつ意識を取り戻し、ついには日常生活ができるようになる姿を追った感動的な番組だった。その看護師たちの信念は、「たとえ今は反応ができなくとも、心の中では自分の考えを持ち、気持ちがあり、何らかの方法があればきっとその気持ちを、考えを表すことができる」というものだった。そのために、まずベッドの上で座ることを目標にしながら、様々な試行錯誤を繰り返し、必ず患者に言葉をかけて反応を待つ、というやり方を実践していった。声をかけること、からだに触れることによって感覚をよみがえらせること、その繰り返しの中で患者たちは少しずつ目覚め、反応し声を出すようになり、ついには工夫された道具を使って文章をつづることまでもできるようになっていった。その姿は、単に植物状態から脱出することができたというだけでなく、人間というもののそもそものあり方というものが見えてくるよう気がした。すなわち、人は何か訴えたいこと、言いたいことをうちに秘めていること。そして、このようなつながりによってこそ、それを外に向かって表して行くことができるということだ。……詳しくは「白雪姫プロジェクト」から見てください
さて、話は変わって、福井の状況である。今の私たちの状況は、目の前には大きな不安も不満も無く、そこそこ安定した生活が続いているように感じる。このような生活がとりあえず続くのなら問題ないのではないかと思える。しかしこの日常生活が、自分が年老いた時や障がいを持つようになった時、身近な人の介護をしなくてはならなくなった時、本当に同じように続けることができるのだろうか?――そんなことは考えないようにしてる、今考えてもそうなってみないとわからないのだから、と考えている人も多いのかもしれない。
そして何より、そうなった時に自分たちの声を聞いてくれる人がいるのだろうか、困っている自分たちを助けてくれる人はいるのだろうか? そんなことが一番不安な点だろう。
でも、そんなつらい状況になっている人は、既にもう福井にもいるのではないだろうか。その声は、もしかすると私たちの未来の声と同じなのかもしれないのに、まだ外に向かって出されていないのではないか。最初に書いた「植物状態」の患者たちのように、その声は必ずあるのに外に向かって発信されていない。だからこそ、その声を聞き出すことが、その人々のそもそものあり方を取り戻すことになり、さらには未来に向けて、次の時代を迎える「福井」を作り出すことになるのだろう。すなわち、自分たちのつらさや悩みを安心して訴え、それを解決していくことによって、安心して生活できる場としての福井である。
「あなた声を聴きたい」プロジェクトは、このような考えのもとに進められていきます。福井の声を引き出していくのが「福井の福祉を!」実行委員会に名乗りを上げた、実行委員の一人ひとりなのです。
それから、新しくなった「あなたの声が聴きたい」へ …こちらからどうぞ
上の図は、福祉を実現するための実際の動きを表したものです