アルスの会とは 学術文化同友会:アルスの会は、文化としての学術を護るために議論を重ねて います。原子核物理の研究者やジャーナリスト、関連分野の会友、会員が所属し ています。ぜひご参加ください。 ![]() アルス論説 (バックナンバー)
| アルス論説 核廃棄物の処分 (アルスタウンミーティングシリーズ2第2部から:中井浩二) 「アルスタウンミーティングシリーズ2」第1部のまとめをベースにして第2部で論ずるべき主題 はいくつも考えられますが、その中で先ず「(1)人材の養成」と「(2)核廃棄物の消滅処分」という2つの問題を重点的に採り上げようと考えています。しかし「(1)人材の養成」は1日にして成らず、20年,30年を要する課題のように思えますが、(2)の課題は急がねばなりません。そこで、かねてから企画していた阪大RCNP研究会「核変換技術に展開:医用RI製造と核廃棄処分」の第4セッシヨンをアルスの会も協賛しTV会議方式のタウンミーティングとしました。研究会の記録のほかに第4セッシヨンの記録を動画としても残しました。 第4セッシヨンは、先ず 有馬朗人さんの講演から始まりました。 (註:アルスミーティングでは敬称として"さん"をつけることに決めています) 元文部大臣(科学技術庁長官併任)の有馬さんの熱意に溢れ迫力に満ちたお話は聴衆の心を捉えました。反原発論者から「御用学者」などと揶揄される有馬さんのお考えには、そんな人達と異なる次元の高さが強く感じられました。多くの先達が築いた原子核科学の成果を護るという物理学者の信念に基づく姿勢に感銘を受けました。 有馬さんは原子力と比較される他のエネルギー源について論じられました。かつて日本を太平洋戦争の戦渦に導いた石油の問題、火力が招く地球温暖化•Co-2の問題、ドイツの風力発電の限界、などなど豊富なデータを示しながら代替エネルギーの問題点を指摘されました。その内容についてはなお議論があり、原発廃止論者は納得し難いところかもしれませんが 「原発を続けるにしてもやめるにしても、核廃棄物の後始末はやらなければならない」 と強調されたことに誰も異論を挟むことはできないと思いました。有馬さんは、また、米英仏露などの原爆を持つ国々と違って原子力の平和利用に専念する日本だからこそ核廃棄物処分の技術を世界に先立って開発しなければと強調されました。 次に使用済み核燃料廃棄物の処分に関する技術の現状について、経験豊かな3人の講演者に紹介していただきました。 高レベル放射性廃棄物の群分離(久保田益充さん:元原研RI部)、加速器駆動核変換ADS(辻本和文さん:JAEA)、地層処分計画(石川博久さん: JAEA・OB)のお話は当日の聴衆にとって目新しいことが多く、それぞれの分野の第一線におけるご努力に強い印象を受けました。そして、この重要な努力に参画する若者を集め、その力を結集することの大切さを強く感じました。いずれも関東に中心のある事業なので、特に関西にも拠点がほしいという印象が強く、有馬さんは大阪大学への期待を強調されました。RCNPのリングサイクロトロンでは400MeV,1μAの陽子ビームが得られJ-PARCの強度300μAには遠く及びませんが、むしろ大強度では困難な実験を採り上げ、基礎的なパイロット実験を企画したいと考えています。 ADS計画について2月末に東京で国際会議が企画されています。 辻本和文さんからのご案内です。 ☞ 加速器駆動核変換システム(ADS)に関する国際シンポジウム セッシヨンの最後に福島原発事故による土壌汚染を精力的に調査した阪大を中心とするチームのリーダーを務めた藤原守さんと谷畑勇夫さんに調査の報告と土砂の最終処分に関する提案を話してもらいました。藤原さんは「山を崩して谷を埋める」というロマンチックな、しかし現実的な提案をされました。 一方、谷畑さんは日本近海にある深さ5,000メートルを超える深海に投棄するという考えを提案されました。土壌汚染の主役セシウムは砂に強固に吸着されることがこれまでの経験で明らかになっていることを考えると、溶解•拡散の心配は無いので砂を簡単な器に入れて魚の居ない深海に捨てれば良いという発想で、極めて安価な作業であり直ぐにもはじめて福島住人を安心させるという提案ですが、科学的理由とは全く異なった社会心理に大きな問題があるということでした。改めて議論したいと考えています。 |

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