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アルスの会とは
 学術文化同友会:アルスの会は、文化としての学術を護るために議論を重ねています。原子核物理の研究者やジャーナリスト、関連分野の会友、会員が所属しています。ぜひご参加ください。
2012年6月2日(土)   13:00〜17:00
 東京大学理学部1号館10F 1017号室

  主題: 福島原発事故の反省と
 核エネルギー利用計画の将来(2)
 ・原発建設•維持•運転態勢の反省
 ・
福島原発事故から学ぶ
 ・人材養成の見通し
 ・
若手に夢を与える企画
 ・安全な原発への移行:小型化
 ・海底開発と原子力
 ・提言の可能性 

等々につき全員参加の円卓会議方式で討論します。
EVOシステムによるテレビ会議(パスワード不要) 
とします。

主なウェブコンテンツのご紹介

1)アルス論説 
会友の投稿を募集
会友による、時事に応じた論説を掲載します。
: 
N0.16(2012.3)
島原発事故の反省と核エネルギー利用計画の将来(1)
  ーアルスタウンミ-ティング@西大和(2012.4.14)の報告と 次回への足固めー (中井浩二)
N0.15(2012.3): 原発の安全は定期点検や規制の強化によって護れるか? (能澤正雄)
  装置や機器の定期点検整備は安全性の確保に 必要か? 充分か? (中井浩二)
N0.14(2012.2):核廃棄物の処分(アルスタウンミーティングシリーズ2第2部から:中井浩二)
No.13 (2012.1.1):「科学と社会の在り方」福島原発事故に学ぶ 
          (アルスタウンミ-ティング シリーズ2の中間報告:中井浩二)
No.12(2011.06):「科学と社会」の接点:福島原発事故を機に考える(中井浩二*)
No.11(2011.04): 原子力発電の安全性に関する菊池正士先生の「遺題」(中井浩二*)
No.10 (2011.01): 平和を希求する科学者であった物理の巨星湯川・朝永の遺志に応えよう(小沼通二*)
No.9 (2010.01):「科学が尊敬され、技術が信頼される社会の復興」を
No.8 (2010.01):今年の目標「アルスの会」の 原点に戻り飛躍を目指した新しい行動計画を
No.7 (2009.02):"智"の教育「アルス遊学塾」創設の 提案
No.6 (2009.01):祝「小林・益川ノーベル賞受賞」  20世紀学術研究体制の勝利 
No.5 (2008.01):餃子店「京都 珉珉」創業者古田安氏の高貴な精神
No.4 (2007.07):新時代の学術振興にかかわる5つの 提言について
No.3 (2006.04):活動の基礎 - 科学者の心に訴える
No.2 (2005.12):"知"の教育より"智"の教育を
No.1 (2005.10):文化としての学術を護る、アルスへの回帰、学術文化の薫りを求めて
2)タウンミーティング
全国各地で、社会と学術の問題について議論を行います。
3)アルス文庫
会友のエッセイ・論文・著作などを収納するほか、リンクを張って紹介します。
4)ブログ
会友へのお知らせのためのブログです
アルス論説 No.16 2012.3

  福島原発事故の反省と核エネルギー利用計画の将来(1)
ーアルスタウンミ-ティング@西大和(2012.4.14)の報告と 次回への足固めー
                                  中井浩二
 標記のテーマに関し、アルスタウンミーティングを第1部として数回重ねてきましたが、その第2部を各地で更に数回 開催する企画を始め、その始めの集まりを西大和でもちました。
 この会議は15名の出席者による円卓会議の形式で行い全員に順次発言をお願いしましたが、併行して各地の会友にも議論に参加してもらえるようEVOシステムによるテレビ会議の形で行いました。ミーティングの様子はEVOによる動画の形で記録が残されています。従って個々の発言を再録することはやめて意見の要約をまとめて報告します。
 最初に中井が趣旨説明を兼ねて意見を述べ議論の叩き台を示しました。
福島原発事故から1年を過ぎて世間では事故の後始末や電力エネルギー源などについて議論が喧しく、また、事故の原因調査について多くの努力が進められています。アルスの会はこの社会の動きに巻き込まれることなく、もっと高い視点から、もっと広い視野をもって、もっと深く問題を掘り下げ,前向きの姿勢で事故の数ヶ月後にまとめた独自の考察を更に深めたいと考えます。
ミーティングでは、始めに能澤正雄さんの講演資料が紹介されました。
 (能澤さんに講演をお願いしましたが、健康上の理由で出席できなくなったので資料を送って頂いたものです)
資料において能澤さんは、福島原発事故に関わる数々の失敗や不手際を振り返り、「現在の姿は。不可抗力のものであったというよりも、世界の原子力安全の努力に背を向けた人災と言うべきである」とし「電力の人々の傲慢な姿勢が現在の惨状を招いた」と総括して居られます。
 福島原発事故の反省というテーマに関し、ミーティングに先立って近藤弘樹さんから「高度に発達した科学技術の成果を社会で利用する際に考えるべきこと〜原子力村の誤り〜」と題する論文が寄せられました。この論文では福島原発事故を起こした〜原子力村〜の犯した誤りを多くの情報を基に分析し「科学と社会の在り方」について基本的な考えを論じて居られます。ここでは近藤さんの論文の紹介にとどめます。近藤さんは「国民の理解を得て納得と信頼を獲得する」努力の欠如が原発事故の原因であり、その後の社会不安の因であると強調されました。
 原発事故の反省点は数多く挙げられていますが、その中で最大の反省点は人材の育成と人材の活用の失敗でありました。原発の今後について世間では脱原発の風潮が強いと思われますが、それは極めて無責任な意見が誇張された結果であると心配になります。
原発をやめるにしても続けるにしても、巨額の資金と人材が必要です。とりわけ人材の不足は深刻です。わが国の半世紀を超える原子力事業の中において、学界の意見を軽視し経済効果のみに注目した政財界主導の政策は、独自の力を育て蓄える努力を軽視してきた誤りが福島事故の原因です。国産一号炉JRR-3建設の頃に期待された日立・東芝・三菱などの国内企業は、結局米国のGEやウエスティングハウスの下請けになりさがり、日本の原発は米国依存の態勢で進められました。
 そのような環境で原子力分野に進む若い人達が激減し各大学に設けられた原子力工学科は消滅或いは変質しました。更に原子炉について、研究炉は科学技術庁(文科省)、商業炉は通産省(経産省)という棲み分けができて、今回の事故に於いても科技庁系の原研で経験を積んだ人材の活用ができなかったという事態が見られました。
 人材の育成には教育がという単純な発想に導かれますが、若い人の教育にとって最も大きな要素は知識の蓄積や技術の伝達でなく、夢を与えることであります。そこで、脱原発と言うような暗いイメージに共鳴する若者はいません。夢を語りつつ教育する為に何ができるか考えてみましょう。
 原発は核エネルギーの利用です。対極にあるものは石油エネルギーで、原子力文化は石油文化に対するものとして期待され登場しました。核エネルギーは原爆という忌まわしい影を持ちますが、石油エネルギーは世界を舞台に戦争と対立を起こしています。
どちらが罪深いのかという反省もないままに反原発を主張する「文化人」が多いことに驚きます。反原発が反原子力に、そして科学思想に結びつくことを怖れます。
 福島原発の事故について学ぶうちに、もっと安全な原発を造れるはずだと思った人は少なくないでしょう。事故の原因は原子炉ではなく外部補助機構にありました。もっと技術に自信をもって原発を開発し、真の原子力文明を築きたい。そう考える若者は居ると信じたいと思います。これまでにそのような可能性は考えられなかったことです。
小型の原子炉の建造とその普及を志して開発を進め、安全名原子力を海外に輸出するという夢を次世代の若者に訴えたいものです。小型原発の技術開発はまた豊かな海底資源の開発に結びつく楽しい夢にもつながります。

 ここまで考えてくると、ふと、40年も昔に読んだ「縮みの文化」という本を思い出しました。韓国人著者 李 御寧の日本文化論です。団扇を畳んで扇子にする、お膳のご馳走を弁当につめる、庭木を盆栽に、天地人の宇宙を床の間に・・と日本文化の「縮み」志向を紹介した後、その日本人は「拡がり」を求めると失敗すると警告しています。例えば、秀吉の朝鮮征伐、大東亜共栄圏などと論じられています。
 原子力発電も、水力発電も、小型化に活路を見出すべきでありましょう。嘗て、トヨタコロナがアメリカの自動車業界を震わせ、ソニーのウオークマンが携帯文化のさきがけを造ったことを思い出します。「小型化」=「縮み」が福島原発事故によって傷ついた原子力文明復興のキーワードであると感じました。

次回のミーティングは 6月2日に東大理学部で開く準備をしています。