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 2005年10月に原子力委員会が決定した「原子力政策大綱」では、核燃料サイクルやプルトニウム利用の問題とともに、食品に放射線をあてて殺菌や殺虫 処理等を行なう「食品照射」を大幅に拡大する方向も打ち出されました。食品照射の実用化は、日本でも1970年代から検討されてきましたが、消費者の強い 反対があり、現在は、北海道・士幌農協におけるジャガイモの芽止めにわずかに利用されているだけです。

 内閣府・原子力委員会は2005 年12月に「食品照射専門部会」を設置し、照射食品の利用拡大に向けた検討を始めました。7月にスパイス(香辛料94品目)をはじめとして食品照射を拡 大・推進するための報告案をまとめ、パブリック・コメント(意見募集)を経て9月、報告書「食品への放射線照射について」をまとめました。
 報告 書は、「コバルト60などから出る放射線を食品に照射すると、病原菌が殺菌され食品の品質保持が可能になる。熱処理をしないため風味が変わらず、薬剤によ るくん蒸代わりに使えるので環境にも良い」とメリットを羅列。また、安全性についても、1980年にWHO(世界保健機関)やIAEA(国際原子力機関) などの合同会議で「10キログレイ以下で照射された食品に毒性的な危険は認められない」とした結論を用いて、安全性を強調しています。

  しかし、この問題に詳しい里見宏さん(食品照射ネットワーク代表、公衆衛生学博士)は、「IAEAなどの安全性の結論は、その根拠が示されていない。日本 の国立衛生研究所が行なった10キログレイ以下で照射された餌を食べたマウスの実験では、奇形や卵巣異常、死亡率の増加が報告されている」として、それを 用いて「安全」とするのは誤りだと指摘しています。

 私たち消費者・市民・農民などの団体・個人は、このような照射食品拡大へ向けた推進の動きに対し、反対しています。原子力技術である放射線照射を、人類の食べ物に使ってよいのでしょうか。食べ物の質の低下、食品の安全性のほか、照射量を検知する技術が確立されていないこと、コストのかかる放射線照射よりも他の食品保持技術がすでにあること、照射施設がもたらす放射能汚染・被曝の危険性などから、消費者にメリットはなく、メリットがあるのは原子力産業界と一部の流通業者、輸出入に関わる企業だけです。
 私たちは、「照射食品反対連絡会」を結成し、取り組みを進めています。