研究活動
大阪大学大学院人間科学研究科 准教授
専門:交通心理学、安全教育学、人間工学
連絡先
h.nakai.husアットマークosaka-u.ac.jp
交通安全や学校安全に関する心理学的研究を中心に、特に社会の安全に寄与しうる研究を進めています。
大学の授業では、交通心理学の他、産業・組織心理学を教えています。
個人的に興味のあるキーワードは「交通、旅、働き甲斐、違反、安全、消費者行動、イクメン、野球」です。
主な研究
最近の研究
道路上での視点取得
路上では、四輪車対歩行者、四輪車対自転車、四輪車対二輪車のように、異なる交通モード間での事故も多いです。
他モード間の事故においては、相手モードからの視点取得(他の交通参加者が周囲をどのように見ているか、次にどう行動しようとするかを、
置かれた状況ごとに正しく推定する能力)が重要と考えます。これまでの研究で、以下のようなことが分かりました。
65歳から74歳の高齢者が歩行中や自転車乗車中に自動車と衝突した事故について、事故類型および事故発生地点の道路形状を分析した結果、自転車事故には免許の有無は影響しなかったものの、歩行中の事故には、免許を持たない高齢者ほど、自動車との相互作用が求められる横断歩道横断中の事故や交差点での事故が多いことが分かりました。
普通一種免許の技能検定受検生を対象に、左折時の運転に関する検定員評価を、既得免許別(二輪免許、原付免許、免許なし)に比較した結果、二輪免許や原付免許を有する者ほど、四輪を運転する際に左側方の二輪に配慮した安全な方法で左折することが明らかとなりました。
運転行動の見える化
主に職業ドライバーに対して、ドラレコデータから運転評価する方法を開発しています。
安全確認と操作のタイミングに注目し、ドラレコデータや車両データから解析を進めています。
学校安全教育プログラムの開発と実践
小学校において、危険箇所を自ら発見し、その危険箇所でどう振る舞えばよいか具体的な行動目標を自律的に持たせ、それをポスター(ピクトグラム)に描いて掲示する教育プログラムを実践しています。
子どもたちが自らの安全を自ら考える教育が有効であるとされているにもかかわらず、実際の教育現場では知識伝達型の一方向的な指導が中心となっているのが実状です。そこで、効果的な教育が普及しない背景要因を明らかにし、効果的な教育プログラムの普及を促進するためのスキーム構築を目指しています。
「標識(ひょうしき)作って なくそう事故を どこでどうする 理解(りかい)して」⇒「ひなどり」
自動車運転中の感情コントロール教育の開発と実践
主にバス乗務員を対象に、運転中のネガティブ感情をコントロールするための安全教育プログラムを開発して実践しています。
これまでの研究
歩行中や自転車乗車中の死亡リスクを高める要因の検討
事故に遭った際の致死リスクを高める要因について、実際の事故データを多変量解析し、以下のようなことが分かりました。
歩行者が単路部を横断中に車両と衝突した事故においては、夜間は昼間の約3倍、歩行者の年齢が1歳上がると1.06倍、歩行者に違反があれば7.2倍、歩行者が飲酒をしていると12.4倍死亡リスクが高まること等が明らかとなりました。
自転車が自動車(二輪車を含む)と信号施設のない地点で衝突した出会い頭事故においては、夜間は昼間の約3.3倍、自転車利用者の年齢が1歳上がると1.09倍、自転車側に違反があれば6.8倍死亡リスクが高まること等が明らかとなりました。
「危ないドライバー」はいるのか?
ある場面で不安全に振る舞うドライバーは他場面でも不安全であるという一貫性を確認しました。
ある日、不安全な運転をしていたドライバーは、別の日も不安全であるという一貫性を確認しました。
「慣れた頃が危ない」は本当か?
質問紙研究より、免許取得後3〜5年のドライバーは、その前後のドライバーよりも自信が高い反面、不安全な運転をする傾向を確認しました。
速度抑制策(ハンプ敷設)の有効性検討
ハンプ敷設が通過車両の速度を抑制する効果について、縦断的研究から効果の波及性やその限界を確認しました。
自信満々なドライバーはどの程度いるのか?
教習所を卒業する時点で、教習所指導員による評価と自己評価を比較すると30〜40%は自身の運転技能を適切に評価しているが、高齢ドライバーになると項目によっては90%が過大評価していることを確認しました。
取材・講演依頼の方へ
まずは、お気軽にh.nakai.husアットマークosaka-u.ac.jpまでご相談ください。
「研究成果を社会のために役立てられる」と判断すれば、ご協力させていただきます。
学生の皆さんへ
オフィスアワーは火曜1限に設定していますが、それ以外の時間でも用があればお気軽にお訪ねください。