『ソフトウェア著作権の誕生』告知ページ

かつてソフトウェアとは、石ころのようなものでした。

それにお金を払いたいなどとは誰も思わなかった。

しかし1960年代のある時期から、それはじわじわと「作品」になりはじめ、

やがてソフトウェアが売買されても、誰も不思議がらなくなりました。

「石ころ」から「作品」への変化はいかにして起きたのでしょうか。

……その道筋を詳述する書籍やウェブサイトが、いまだに存在していません。日本語はもちろん、英語の文献さえ心許ない状況です。ある意味では無理もない話で、そもそもコンピュータ黎明期(1950~1960年代)のソフトウェア産業史は、わりと最近まであまり整理されていなかったのです。早くからそこを研究対象にしていたのはコンピュータ史学の大家マーティン・キャンベル-ケリーくらいでした。ですが2000年代初頭までに、欧米の研究機関ではかなりの資料が蓄積されました。その後From Airline Reservations to Sonic the Hedgehog』(2004)やMaking IT Work 』(2017)といった大著が登場したことで、今ではこの領域の見通しもかなり良くなりつつあります。

が、「石ころ」から「作品」への道のりは、それでもまだしっかり整理されているとは言い難い状況です。より正確に言うと、ソフトウェアの価値には「創造的価値」と「実用的価値」の二種類があるわけですが、前者の道のりになかなかスポットが当たりません。先人たちの業績を丹念に拾い上げれば、それはやがて明らかになってくるはずですが、これまでのところそれに着手している人はいませんでした。

そこでこの『ソフトウェア著作権の誕生』です。



コンピュータ史に興味を持つすべての人にとって必読の書。

A5版72ページ 2017年11月12日発売

イベント等での販売のほか、COMIC ZIN様・BEEP様にて通販も行っております。 

私達が日常触れているスマートフォンやパソコンやゲーム機のなかでは、毎日さまざまなソフトウェアが生まれ使われ続けているわけですが、それが単なる「命令の羅列」ではなく立派な「作品」であるということを、いつ誰がどうやって見出し、保護する仕組みを整えたのでしょうか? 現代の「当たり前」が、まだ当たり前ではなかった時代のことを、少しでも多くの人々に知っていただければ幸いです。

以下は本書のサンプルです。


【本文その1】

【本文その2】

お詫び

※お詫び 本文中に一部、要修正の内容がございました。謹んで以下のように訂正いたします。

p.1

【誤】今で人類の大半が

【正】今では人類の大半が

p.35

【誤】 事務処理しかしない人が、もしある日突然CG製作に目覚めたとしても、パソコンそのものを買い換える必要は基本的になく、CPUやメモリを後から増強すれば、新たな用途に対応することができるわけである。

【正】事務処理しかしない人が、もしある日突然CG製作に目覚めてパソコンを買い換えたとしても、同じソフトや操作環境を使い続けることができる。CPU性能やメモリの増強によって、新たな用途に対応することができるわけである 。