抗議声明と署名のお願い 「アトミックサンシャイン」沖縄展の検閲に抗議する美術家・表現者有志 今年4月11日から5月17日に沖縄県立博物館・美術館で開催された「アトミックサンシャインの中へin沖縄−日本国平和憲法第九条下における戦後美術」に展示予定だった大浦信行の版画作品「遠近を抱えて」が、県教育委員会や県立博物館・美術館などからの「教育的観点から配慮してほしい」という要請によって展示が中止されるという事件が起こりました。 「アトミックサンシャイン展」は、昨年1月12日から2月10日まで、ニューヨークのPuffin Room、2008年8月6日から24日まで東京の代官山ヒルサイドフォーラムで開催されました。今回の沖縄での巡回展は、三回目の展示になります。 出品作家は、ヴァネッサ・アルベリー、アローラ&カルサディーラ、コータ・エザワ(江沢考太)、エリック・ヴァン・ホーヴ、松澤宥、森村泰昌、大浦信行、オノ・ヨーコ、下道基行、照屋勇賢、柳幸典の、世代を超えた国内外の作家、10人+1組。企画のコンセプトは、キュレータ―の渡辺真也によれば、「日本国憲法改正の可能性を目前とする今、戦後の国民・国家形成の根幹を担った平和憲法と、それに反応した日本の戦後美術を検証する試み」だったといいます。 沖縄展では、ニューヨーク、東京展の参加作家に加え、新垣安雄 、安次嶺金正、比嘉豊光、石川真生、真喜志勉、 仲里安広、 平良孝七、山城知佳子の8人の沖縄の作家が参加しました。この巡回展の中で「遠近を抱えて」だけが、美術館側からの作家に対する相談もなく排除されたのです。 私たちは、日本国憲法をテーマとした展覧会でこのような検閲が行われたことに対して怒りを禁じることができません。なぜなら、憲法は平和国家を宣言した第九条とともに第二一条の中で「表現の自由」も謳っているからです。表現の自由は、あらゆる芸術活動にとって、なくてはならない基盤なのです。 今回の検閲は、作家の基本的人権を侵害しているだけではありません。より問題なのは、国民の「見る権利」までも侵害していることです。 今回展示が中止になった「遠近を抱えて」は、一九八六年に富山県立近代美術館でやはり検閲事件が起こりました。「86富山の美術」展で、展示のため購入されたこの作品は、昭和天皇の写真をコラージュしていることから、県議会の議員たちと右翼の抗議に屈して作品と図録の非公開となり、さらに作品の売却、図録の焼却処とする前代未聞の事態になったのです。 「アトミックサンシャイン展」の趣旨が、戦後美術を規定している政治的前提を探るというものである以上、こうした経緯を考えても「遠近を抱えて」は決して外せない作品だったはずです。私たちはこうした重要な作品を「見る権利」も奪われてしまったのです。 ましてや日本国憲法第九条と第一条「天皇条項」との両立には、戦後沖縄の分割及び基地化が影絵として横たわっているといっても過言ではありません。いまなぜ沖縄でこのような問題が起きたのか。ここ数年の沖縄戦をめぐる歴史認識のねじれや、アジアの過去史清算などの葛藤が、九条によって平和偽装されたかのような日本の歩みの中で、いまさらのように沖縄という場にあらわれてしまった。しかも、「表現の自由」を侵害するという最も非人間的な形で可視化されたともいえるのです。その相貌から私たちは眼をそらしてはならないと思います。 「緊急アートアクション2009」は、沖縄県立博物館・美術館の「アトミックサンシャイン」展に対する検閲事件を徹底的に検証し、これをきっかけにして、アーティスト、学芸員やキュレーター、美術批評家や美術研究者、そして一般市民の「表現の自由」と「見る権利」を保障することを要求します。そして検閲が横行してしまった背景にある美術家や学芸員など、国家制度上、身動きがとれない表現をとりまく現状についても、私たちは共に考えていくつもりです。戦後日本の「縮図」である沖縄における「アトミックサンシャイン」展が、天皇を扱った作品をはずしてまで開催されたという、その企画の真の意味もまた問われなければならないはずなのです。 そのようなことを踏まえて、私たちは、あらゆる検閲に反対します。この「ねじまげられた自由」を封じ込めず、みつめていく意志こそが、次世代の創造力を育むことにつながるのではないでしょうか。 私たちの表現は国家や行政に決して奪われてはならないものなのです。 私たちは沖縄県立美術館による今回の検閲に対して強く抗議します。 「沖縄県立美術館検閲抗議の会」 「大浦作品を鑑賞する市民の会」 「富山県立近代美術館検閲訴訟元原告有志」 ■美術家・表現者有志による「アトミックサンシャイン」沖縄展の検閲抗議に ご賛同いただける場合は、 お名前: 所属や肩書き: お名前と肩書きの公表: 可 否 連絡先(メールアドレスなど): 一言メッセージ: (一言メッセージを美術展に展示してもよい:可 否)をお知らせください。 ◎ご賛同の返信先は e-mail: sign-in-enkin(a)alt-movements.org 実際にメールを送る場合は、(a)を@と入れ替えてください。 または fax: 044-988-9943 ■なお、この主旨に賛同する表現者たちの意志表明を行うとともに、 「緊急アートアクション2009」 ―「アトミックサンシャイン」沖縄展の検閲に抗議する美術展― を7月18日より8月1日まで開催します。 ■さらなる詳しい情報は、以下のサイトをご覧ください。 https://sites.google.com/site/artaction2009/ http://www.alt-movements.org/art_censorship/oura/atomicsunshine_censorship/ |