メトロノミック抗癌剤治療

メトロノミック抗癌剤治療は近年注目されている抗癌剤治療で、既存の抗癌剤を通常より非常に低い用量で頻回に投与する方法です。2000年にマウスを使った論文が初めて発表された後研究がすすめられ、近年は実際の治療にも使われるようになりました。

通常の抗癌剤治療では高用量を低頻度(例えば1-3週に1度)で投与し、癌細胞に対して大きなダメージを与えることを目的としています。一方正常な組織にも著しく影響するため、倦怠感・嘔吐・下痢・食欲不信・発熱などさまざまな重い副作用も見られます。

メトロノミック抗癌剤治療では1回の投与量を非常に低くすることで正常組織への影響や副作用を抑える一方で治療効果は通常の抗癌剤治療と同等またはそれ以上を達成することがあります。

メトロノミック治療が癌組織に対してどのような効果をもたらすかははっきりとはわかっていませんが、癌組織が増殖するにあたり必要な血管を破壊・血管新生を抑制する・癌細胞が破壊されやすくする・癌細胞が免疫細胞による破壊のターゲットになりやすくするなど複合的な効果が認められています。

これまで問題になっていた抗癌剤の強い副作用を排除する画期的な治療ですが全ての症例で良い結果が得られるわけではありません。また実際の現場で使われるようになって比較的日が浅いため多種多様な癌に対する効果・使用する薬剤の組み合わせ・投与量・投与期間などに関するデータが不十分といえます。

現時点では一部の薬剤について投与方や投与量が定められ実用化されており当院でもその成果を確認しています。今後はさらに治療結果の報告が増え、現在研究されているその他の治療法とともに治療範囲の拡大が期待される治療方法といえます。

メトロノミック治療のメリット

デメリット