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ドラッグストア勤務薬剤師の被災地区派遣

 

 

これまで、ドラッグストアの経営者や、そこに勤務する薬剤師が集まると、常に次の様な話がされてきた。

 

・ 改正薬事法の真の目的は、高騰する医療費を抑制するセルフメディケーションの推進にある。(このことは、厚生科学審議会報告書にも掲載されている)

 

・ セルフメディケーション推進の中心は薬剤師となるべきであり、これを実践させるための様々な職能領域、権限の拡大が必要である。

 

・ チェーンドラッグストアの今後の社会的役割は、セルフメディケーション推進にあり、薬剤師が活躍できる環境整備や制度改正が不可欠だ。

 

・ 薬剤師がセルフメディケーション推進を実践するためには、生活習慣病用の予防や未病改善のスイッチOTC、サプリメント等の有効活用が不可欠。

 

・ こうしたセルフメディケーション推進は、国家的課題であり、その実現には業界をあげて取り組む必要がある。云々・・・

 

だが、現実はどうであろう。まさに、被災地区こそが全域セルフメディケーション必要地帯となっており、薬剤師の活躍の場なのではないのか。

 

 

■わが国の薬剤師やチェーンドラッグストアが、今問われている

 

一般生活者のほとんどは、薬剤師といえば薬局でお医者さんが出してくれる処方せんに基づき、調剤薬を渡す人ぐらいにしか認識が無い。薬剤師が医薬品は言うに及ばず、安全で効果的な服薬指導と自己治療、QOL改善のための衛生や安全、栄養や食事など生活全般についての健康指導ができる人だと認識している生活者がどれだけいるだろうか。

今、この被災地区では、こうしたセルフメディケーションを的確に指導してくれる専門家を長期的にたくさん必要としている。

業界としては、調剤以外の薬剤師の役割や活用方法について、被災地区の方々に広く訴えていくつもりである。

だが、私を悩ませている問題がある。これまで集まると、薬剤師の役割や重要性、新たなドラッグストアの役割を訴えていた人や企業が、このことを実践し実績を上げなければならない、この時に「薬剤師が不足気味だから」「コストがかかるから」「偽善的な企業や薬剤師にまかせたい」として、勤務薬剤師の参加を拒む企業や薬剤師本人があまりにも多いことだ。

 

 

■これは、その企業や個人の問題ではない。業界の現実と問題である。

 

私は、ドラッグストア企業経営者やそこに勤務する薬剤師の主張を真に受け、自費を投じても、その実現のための努力をしてきたし、今後もその努力を惜しまないつもりであった。

だが、このたびの日本薬剤師会、被災県薬剤師会、厚生労働省と連携した薬剤師派遣の協力状況を見ると力が抜けてしまう。

ドラッグストアや薬剤師の新しい社会的役割・機能としたセルフメディケーションの推進などは、夢また夢なのか。命をかけて取り組んできたのは何だったのか。力が抜けてしまいそうだ。

それでも懸命に協力していただいている企業や薬剤師の方々、会社の理解が得られず有給休暇をとって個人ボランティアとして参加いただいている薬剤師の方々がおられることも事実である。心より敬意を示すとともに、今後も万全の派遣サポートを行なっていくつもりである。

どうかドラッグストア各社や、そこに勤務する薬剤師の方々に再度ご検討いただき、絶大なるご支援を心よりお願い申し上げる次第である。

 

 

■国家資格「薬剤師」とは何か

 

国家資格には、独占名称資格と独占業務資格とがある。

前者は、一定のスキルや能力を有したことを認定し、その資格名称を使うことが許された方々である。調理師や中小企業診断士などがあるが、この資格を持っていなくとも業務することは差し支えない。

後者の独占業務資格は、この免許を持っていなければ、特定の業務をすることができない資格である。医師、弁護士などの免許であり、薬剤師も同様の資格である。この独占業務資格には、国家運営にとって重要な役割が託されていることと、その業務を行なう場での業務という2つの側面を持っている。薬剤師免許は薬局やドラッグストアなどの調剤や医薬品提供の業務と、日本国民の保健向上の寄与という2つの責務を有して、独占業務資格となっているのだ。

薬局やドラッグストアの店頭で業務を行なうことも、国民にとって重要な業務ではある。そして今こそ、薬剤師の国家的、国民的国家資格の意義を考え、独占業務資格の国家資格免許取得者としての誇りと責任をもって、この大災害時に何をすべきかを考えていただきたいものである。