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被災・被害はいつも「リアル」で起こる

 

 

このたびの東日本大震災の被災・被害は、言葉にならないほど、広く悲惨な状況に陥っている。

「今はIT時代、ネット時代で」あり、「ITはすべてができる」「ITにできないものは無い」と豪語していたIT業者、ネット業者は、このリアルな被害の前に成す術もない。

 

被害はいつも「リアル」で起こるものである

近年の日本を見ると、商売上手なIT業者やネット業者の「バーチャルの自信過剰」の前に、ますます現場・現地で役割を果たしている業者の「リアルの自信喪失」となり、大マスコミも、これを促すような報道が繰り返されてきた。

だが、被災地区の捜索活動や避難民の生活の支援、原子力発電所の放射能漏れ対応と避難民受け入れなど、どれを見てもすべて「リアル」で対応が迫られている。「IT」や「ネット」はこの「リアル」の前では無力である。この「リアル」をより効果的、効率的に運用する手段の一つとして「IT」や「ネット」が活用されているのにすぎないのである。

現地被災地区に必要な医薬品や衛生用品、食品などをキメ細かく届けたり、被災地区に入り医薬品や健康相談を続けている薬剤師の「リアル」な活動は、すべてリアルな既存医薬品販売業者で行なわれている。彼らが地道で懸命な活動を行っているから、幸いにしてリアルな被災者の健康維持や衛生状態の環境保全が図られているのである。

 

したがって「リアル」を壊す「IT」や「ネット」など有り得ないのである

もし、IT万能を豪語していたITやネット業者の思い上がりで、「リアル」を否定し壊してしまっていたら、今回のような「リアル」の災害時に、誰も対応する者が無くとんでもないことになっていたに違いない。

また、この未曾有のリアルな大災害に対して厚生労働省は、被災地区や被災者救済のために医薬品提供に関する特別措置を次々と発表し、薬局や薬剤師の業務を円滑にしてきた。これらの緊急避難的措置により、被災された地区の方々や患者さんに効果的な医療や医薬品の提供が実現されたのである。

しかし、この状況を見たITやネットのバーチャル業者は、非常時の特例でやれることを、通常でもやれと主張しているという。つまり医薬品のネット販売や通信販売・郵便販売の全面自由化への主張である。

この場に及んでも、自分たちのビジネスしか考えない族の発言と行為には、腸が煮えくり返るほど許しがたい思いである。彼らのこの主張は、人の誠意や困窮に付け込んで儲けてしまおうとする、今ばっこしている「義援金詐欺」と何らかわらない。

 

常時と非常時とを分けて考えることは当然なことである

IT、ネット業者はすべてそうだというつもりは無いが、彼らの火事場泥棒的な主張や行動には毅然とした姿勢で臨まなければならない。

これまで医薬品の円滑な提供方法に、ITやネット活用の可能性の研究や模索・調整をすすめていた筆者にとっては、自分のことだけしか考えないこのたびの火事場泥棒的発言は許しがたいし、断固として反対する。

寝食忘れて、被災地区の復旧に励む自衛隊員、各地区で泥だらけになって献身的に働くボランティアの方々、被災地区で働く医師、看護師、薬剤師、救援物資を送る各メーカーや業界、生活者、その他大勢のリアルの救済の場で活動する多くの方々など、それらの人々の思いや懸命な努力を考えると、このたびの自分勝手なネット業者の言動や屁理屈には怒りさえ覚えるし、許せない。