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被災地における薬剤師の活躍

 

― 薬剤師だからこそできる役割があった ―

― 薬剤師自身もマスコミもその活躍をアピールすることが大切 ―

 

 

■薬剤師派遣企業と薬剤師に感謝

 

現在、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は、日本薬剤師会と連携し、ドラッグストアに勤務する薬剤師を被災地区に派遣している。

この支援を行なうにあたって、JACDSはドラッグストア企業各社に呼びかけ実施しているが、その受けとめ方や対応に、かなりの差があるのが現状である。

ドラッグストア企業が自ら進んで、勤務として複数名を出してくる企業があるかと思えば、このWebサイトを見た勤務薬剤師が会社に申し出ても許可が得られず、有給休暇をとって「個人」として参加する志の高い薬剤師もいる。

JACDSからの薬剤師派遣企業および薬剤師本人は、日本薬剤師会だけでなく、厚生労働省医薬食品局にも登録され、厚生労働大臣にも報告されている。

また、JACDSからは薬剤師派遣企業および派遣薬剤師に感謝状が贈られ、その社会貢献意識の高さを、永久に残すことになっている。(個人参加の場合は個人のみ)

 

 

■派遣薬剤師の業務

 

被災地区における薬剤師が行なう業務は概ね次のとおりである。

 ①調剤業務    ― 医師の処方せんや投薬履歴(お薬手帳など)に基づき、医療用医薬品の提供。医師の指定する医薬品が不足しているため、医師とも相談のうえ代替医薬品やOTC医薬品への切り替えなども行なっている。

 

   ②健康相談    ― 避難所や自宅で避難生活を行なっている人々は、その長期化により、体調不良を訴える方々が続出している。この状況を予防したり、重度化を防いだりするための医薬品の適切な使用、衛生管理、運動・食生活などの指導を行なう。重度化している方々は、いち早い医師への受診なども対応。

 

   ③医薬品等の提供 ― 医薬品や生活物資の集積所(県薬剤師会など)から、避難所等に医薬品や健康食品、生活物資などを運搬し届ける。服薬指導や生活指導を行ないながらの提供も行う。避難地区からの要望を聞き取り、その対応策を講じる。

 

この中において、調剤業務もさることながら、特に薬剤師業務として重要なのが、②の健康相談および予防活動である。

被災地区の医療状況を見ると、大震災直後の医療は医師不足、医薬品不足の中で、人工透析患者や高血圧患者など、すでに医療を受けている患者に継続した医療をどう届けるかが急務となっていた。

それから1ヶ月が経過し、これらの医療体制が整えられてきた現在、新たな医療問題が起こってきている。これまで元気であった人たちが、生活環境の変化や悪化から様々な体調の変化をみせていることだ。避難民の多くがQOLの変化や悪化を訴えており、これを放置しておくと肺炎や破傷風などの重篤な疾患になったり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の発症になったりすることになる。すでに、第2次医療問題が深刻化してきているのである。この状況は、一部の高齢者や乳幼児のみならず、すべての避難者の方々に起こっている。今後の薬剤師の重要な支援業務として、この健康管理業務が必要となっているのである。

 

 

■きわめて重要な薬剤師による健康管理指導

 

被災地区や避難所におられる方々に、薬剤師による健康管理業務はきわめて重要であり、効果的である。

薬剤師が、キメ細かく健康指導を行なうことにより、被災者の健康状態が保たれたり、重篤化を防いだり、適切な医師受診のタイミングを確保できたりすることが可能となる。現状の各地区からの派遣薬剤師の活動を見ても、この健康管理において、確実に大きな成果につながっている。

現在の派遣薬剤師の活躍状況から、健康管理の業務をみると次の仕事が行なわれている。

 

1)衛生向上 ― トイレや生活環境、体の衛生管理のための作業および指導。

 

2)お薬相談 ― 予防や自己治療の安全で効果的な医薬品の選択と服薬指導。

 

3)ケア(手入)― 「消毒に力を入れたため殺菌アルコール剤で手がガサガサに」など、すでにあらゆる身体の部位がQOLダウン。これをどう手入し、悩みを解消するかを指導。

 

4)食事・栄養指導 ― 食事指導に加えてサプリメントや健康食品、栄養ドリンクの適切な摂取方法などを指導。

 

5)睡眠・運動 ― ストレスを解消したり、体の免疫機能を向上させたりの指導。有効な医薬品の服薬指導も行なう。

 

6)受診勧奨 ― 症状が重い方には、すみやかに医師に診てもらう指導と手配。

 

7)その他

 

こうした業務は、薬剤師が最も得意とする分野だし、他の医師・看護師・保健師と比べても、薬剤師の方が実効性のある活動分野だと考えられる。

ひたむきに、もくもくと現地で活躍する薬剤師像も良いが、その活動を被災者により活用していただくためにも、こうした薬剤師特有の業務をもっと強くアピールしていく必要がある。

 

 

■薬剤師業務をアピールすることの大切さ

 

テレビニュースでは、「被災地区支援」についての報道が次々に報じられている。

あるソバ屋チェーンが300食をもって被災地区へ行く様子をドキュメンタリー風に報じていた。300食ではどうにもならない数で、立ち往生している様が報じられた。また一方で、ある経営者が少しの支援物資について、被災地区に届かない県の体制を批判し、それを正義の味方とするような報道があった。被災県の味方をするわけではないが、少ない職員であらゆる方面での対応が迫られている状況にあるのに、この報道の仕方は無い。

こうした中にあって、黙々と被災地区に入り健康の向上に励む薬剤師の方々の活躍がほとんど報じられていないのは、誠に残念である。これは何より、被災者にとっても損なことである。

そこで私は次のことをお願いしたい。

 

1)薬剤師の業務のアピール(団体や派遣活動チーム)

被災者たちは、いったい薬剤師は何をする人か、何をやってもらえるかが解らない方々がほとんどである。薬剤師について知識のある人でも、ほとんどの人は薬局での調剤業務としての認識ぐらいのものであろう。

そこで、まず薬剤師をまとめる団体や活動チームは、薬剤師の「健康相談に関する業務内容」を明確にし、被災者や避難者に周知させる必要がある。これを知らせることにより、様々な健康や生活相談が薬剤師に寄せられるものとなる。薬剤師も書籍や支援物資等を活用しながら、有効な健康相談に応じることができる。

今後、気温が上がる状況の中にあって、こうした薬剤師の活躍はきわめて重要なものになるであろう。

2)報道の皆さんへのお願い

現在、全国各地から派遣された薬剤師が、前述のような業務にあたっているが、今後の気温の上昇を考えると、長期的かつ多くの支援が必要となる。こうした、実行性があり、かつきわめて重要な薬剤師の病気や重症化の予防、健康管理、自己治療の業務について、ぜひ詳しく報じていただきたい。

マスコミ等の報道は、派遣する薬剤師のモチベーションを上げるだけでなく、彼らの活動を利用する被災者にとっても、重要なことである。1人でも多く、より細かな薬剤師派遣を確保することは、今後の被災地区にとって重要な課題となる。ぜひ、薬剤師の地道な活動にスポットをあてて、知らせていただきたいものである。

 

 

日本チェーンドラッグストア協会が、セルフメディケーションパンフレット作成・配布

 

日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)では、被災者や避難者に対し、これからの健康管理に必要な、予防や改善、健康管理、自己治療法、受診勧奨等をまとめたパンフレット、30タイトル(症状・疾患)を医薬品や医療の専門家に制作依頼し、配布する。

被災者のセルフメディケーション(自己管理)だけでなく派遣薬剤師が健康指導を行なう時の重要なコミュニケーションツールとして、役立てていただく。

 

 

 

 

 

 

〔写真で見る派遣薬剤師の主な仕事〕

 
 

①東京駅に集合(事務局より被災支援の概要と注意事項等の説明) 

 

 

 

 ②東北新幹線で出発 → 運行している那須塩原駅まで(事務局手配) 

 

 

③那須塩原駅からはレンタカーで移動 → 仙台の宮城県薬剤師会へ(事務局手配)

 

 
 

 

 ④宮城県薬剤師会にて打合せ、医薬品や支援物資の仕分け作業など 

 

 

 

 

 

 

 

⑤派遣地区を移動しながら支援活動開始

(医薬品の仕分け、被災者に一般薬のお渡し・お薬や健康の相談、調剤業務など) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑥被災地支援のための道具・備品等を仙台のツルハドラッグさんに預かっていただき、車で那須塩原駅まで戻りレンタカー返却。
新幹線で東京に戻る。