石川愼二『新羅慕情』

釜山は成田から2時間チョイ、時間差は無い。気温は感じるような差はない。緯度は東京とほぼ同じだ。慶州(Gyeongju、キョンジュ)は金海空港より北へ70km、高速バスで約時間で着く。

人口約13万人、至る所に巨大な円墳があり、遺跡の中に町があるような所だ。

新羅千年の都であった慶州は世界文化遺産に指定されている。

この地で最も有名な所はなんと言っても仏国寺((Bulguksa)だ。

535年の創建といわれ、壬申倭乱(文禄、慶長の役1592,1596)豊臣秀吉軍により焼かれてしまった。

しかし石の礎石、石段、石塔、仏像などが残されており伽藍は立派に復元されている。それにしても豊臣軍はとんでも無い事をしたもんだと日本を代表して陳謝したい。(笑い)

それから更に山奥へバスで30分、石窟庵(Seokguram)は新羅時代(751)に創建された。また国立慶州博物館は厖大な展示物は圧巻であった。

慶州の宿は玉山荘という小さなホテル、2泊、6,500ウォン(5,200円)バストイレ付き、TV,冷蔵庫、オンドル。

夕食はホテルの近所のオンドル付きの韓国人がほとんどの盛り上がり居酒屋。

ビールを1本つけしっかり韓国料理をいただき、8,000ウォン(640円)。

慶州(Gyeongju、キョンジュ)、私の思いは、あと2、3日必要かと思います。

慕情はただ募るばかりでした。それでも市内をタクシーを駆って夕闇迫る史跡を駆け歩きました。瞻星台(7世紀の天文台)、芬皇寺址等。

国立慶州博物館はその殆どがレプリカなし。優しい品の良いボランティアのおばさんが案内してくれました。

国立慶州博物館の案内全鑑A4版、235ページ、30,000ウォン(2、800円)私の好きな蓮華軒丸瓦、などあらゆる埋蔵発掘物が掲載されています。残念ながらこの案内全鑑ハングルだけしかありませんでした。それでも立派なので求めてきました。此処だけ(国立慶州博物館)でも一日充分かかるかと思うくらいです。

慶州で2日費やし、次の目的地は大邱(Taogu)(テグ)である。大邱は慶州から真西へ高速バスで小一時間、この都会は韓国第三の都市である。

つまりソウル、釜山に次ぐ人口を有する慶尚北道の道庁所在地。人口2,544,811人(2004)である。

観光は今ひとつ、東大邱駅(大邱最大の駅)の案内所は日本語はともかく英語の出来る人がいなかった。若いお巡りさんも思うようではない。

その様なスタンスは産業はともかく国際感覚は今ひとつとも思えた。こういう状況で良く此処でワールドカップが行えたのかとも思った。

高速バスターミナルの中にある薬局の中年の薬剤師との会話で何とかホテル探しが出来た。

大邱はロイヤルジャンというホテルだ。これも予約なしである。一泊40、000ウォン(3、200円)取り敢えず荷物を置いて、目的地へ向かうことにした。

例によって、博物館へ行きそれから海印寺(Haeinsaヘインサ・国際文化遺産)への予定だ。ところがこの国立大邱博物館、バスも地下鉄もアクセスがわるくタクシーを選ぶしか手はなかった。韓国の公共交通機関は国民に奉仕している。地下鉄が殆ど100円(1100ウォン)以下である。

国立大邱博物館は立派な建物だが、日曜日(12月13日)というのに、お客はまばら、職員か学芸員か分かりませんでしたけど、中年の品の良い女性が付ききりで案内してくれました。時間がないので少し早足で見学したら、「足が速いのですね。」と言われた。記念にツーショットを撮ってきた。

その二人の間に安重根(An Chun-gun)の額あり。その前である。皆さんに是非お見せしたいものである。

いよいよ、憧れの世界文化遺産・海印寺(Haeinsaヘインサ・国際文化遺産)へ。大邱西部バスターミナルから1時間半の行程だ。50km位の道のりだが、普通道があり山道をかなり登っていくように思えた。

「高麗八万大蔵経」は現存する漢文大蔵経の中で世界最古を誇っている。海印寺は新羅以降の千年の古刹であり数多くの由緒ある大伽藍である。

あの厖大な木版の教典は保存環境を考えた一番奥の高台の伽藍に鎮座していた。この光景は他では見られない世界で唯一の大蔵経の保管庫だ。皆さん・・・必見!

3泊目の大邱、世界文化遺産韓国の双璧を見学しホット一息、今夜は大邱の夜の巷の散策と洒落込みたい。

予め案内書で調べておいた「クギルタロ」という食堂、「タロクッパブ」の本家本元そこを目指した。

評判通りの味ボリュウム、ただ我々日本人にはちょっと辛すぎる、しかし郷に入れば郷に従えの想いでチャレンジ不思議なものでこれが心地よくなってきた。「タロクッパブ」とは朝鮮戦争の時に避難民に提供したのが始まりという。

値段は6000ウォン(400円)、一杯飲んで、9000ウォン(720円)。

この「クギルタロ」という食堂、繁華街のすぐそこ、また来たいと思うくらいである。

今、日本ではファーストファッションといって、上から下までトータルで1万円以下がはやっているそうである。デフレスパイラルとユニクロの影響かもしれない。韓国はアウトドアブランドが大流行、「ノースフェース」「パタゴニア」「コロンビア」等々、一見カナリ高価なのを身につけている。

この大邱東城路には、その専門店が軒を並べ、競い合っているのだ。