円周率の計算

8桁の円周率

2010年1月26日 茨城新聞「いばらき春秋」から

3.14159・・・・。円周率の世界記録をフランスの民間人が塗り替えた。そんなパリ発の外電が飛び込んできた。

筑波大学計算科学研究センターが昨年8月に樹立した記録を破り、2兆7千億桁を達成したという。

この記録にははるかに及ばないが、今から350年以上前、本県にも独自に円周率の計算に挑んだ人がいた。江戸時代初期の和算家、村松茂清だ。現在の東海村出身といわれ、笠間藩に仕えた。

円周率は当時の寺子屋の教科書「塵劫記」では「3.16」。村松はこれと、中国の算学書の記述が異なることに着目。正八角形の辺の長さから計算しはじめ、辺の数を次々に2倍する方法で正3万2768角形まで完成。8桁までの正確な円周率を算出した。

当時としては非常に進んだ研究で、この考え方を進めれば、ニュートンの微分・積分の考え方に近づいたといわれる。

数学に親しむ文化は当時庶民にも広がっていたらしい。県内の寺社から当時の「算学」(和算の問題と解答を額にして奉納した絵馬)も見つかっている。研究学園都市や原子力開発で知られる本県だが、案外、理数系をはぐくむ歴史風土があるのかもしれない。