松尾 俊輔(マツオ シュンスケ)

専門分野:近現代政治史、スポーツ史

所属:地域文化研究専攻

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書類上の所属は大学院地域文化研究専攻(中南米小地域)ですが、基本的には1、2年生向けの第2外国語スペイン語の授業担当をはじめとする前期課程スペイン語部会の業務に従事しています。

研究上の広い意味での専門は独立以降のラテンアメリカ近現代史、狭い意味での関心は「コーノ・スール」と呼ばれる南米南部諸国における国家と社会との関係をめぐる政治・社会史です。特に、これまで20世紀初頭のチリ・アルゼンチン・ウルグアイの3カ国について、近代スポーツという特異な文化実践の一群が、近代国民国家形成という政治的プロジェクトといかなる関係性の下で展開してきたかについて研究してきました。

現在はバジェ=イ=オルドニェス期のウルグアイについて博士論文を執筆中です。ここでは、当時ラテンアメリカのみならず世界でも最も先進的とされたバジェ期ウルグアイのスポーツ政策について、同時代の急進的な政治・社会改革の盛衰というナショナルな文脈に加えて、国際オリンピック委員会と北米YMCAが企図した世界の周縁地域でのスポーツ振興プロジェクトというグローバルな文脈にも位置付けながら検討しています。

またそこから派生してグローバル・ヒストリーのプロジェクトに関わっていることもあり、「世界史」や「グローバル・ヒストリー」の隆盛という近年の歴史学的潮流の中で、ラテンアメリカとその歴史がいかなる役割を果たすことができるかという問題についても考え始めています。

略歴

2011年 東京大学教養学部地域文化研究科ラテンアメリカ分科卒業

2013年 東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻 修士課程修了

2017年9月〜2018年2月 ベルリン自由大学ラテンアメリカ研究所 訪問研究員

2018年 東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻 博士課程単位取得満期退学

2018年4月~2020年3月 東京大学中南米科 教務補佐員

2020年4月~ 現職

論文

    • Shunsuke Matsuo. "Sport, Science, and the Social Question in Early Twentieth-Century Argentina: An Analysis of Parliamentary Discussions, 1907–1924". The International Journal of the History of Sport. Volume 36, Issues 4-5 (2019), pp.321-339.
    • Shunsuke Matsuo. “¿Pasión de multitudes o más allá de eso? Una observación historiográfica sobre el deporte sudamericano y una revisión de la historia del deporte chileno”. SudHistoria. nº 8 (enero-junio 2014), pp.10-36.

著書

    • Cesar R. Torres and Antonio Sotomayor (eds.), Olimpismo: The Olympic Movement in the Making of Latin America and the Caribbean (Fayetteville, AR: The University of Arkansas Press, 2020). (“Chapter 1: Sports Policy, the YMCA, and the Early History of Olympism in Uruguay” の章を分担執筆)
    • 坂上康博ほか編『スポーツの世界史』(一色出版、2018年)(第12章「アルゼンチン・ウルグアイ・チリ ースポーツからみる南米の政治史」の章を分担執筆)
    • 寒川恒夫編『よくわかるスポーツ人類学』(ミネルヴァ書房、2017年)(「『スポーツによる人種改良』?20世紀初頭アルゼンチンの身体・神経・精神と優生学」の章を分担執筆)